日本を出た瞬間。20歳、初めての国際線
初めての国際線
利用した航空会社は、大韓航空。
ソウル・インチョン空港を経由して、バンコクへ向かう。
指定された座席は、
予約していた席ではなく、
スチュワーデスさんの、すぐ目の前だった。
余韻に浸る暇もなく、
飛行機は、そのまま滑走路へ向かう。
――僕は、世界に出た。
このドキドキは、
旅が始まったからなのか。
空港内を全力疾走して、
まだ心拍数が戻っていないからなのか。
それとも、
美人のスチュワーデスさんと向かい合って座っているからなのか。
そんな、どうでもいいことを考えながら、
僕は、日本を離れていった。
初めての機内食という試練
「機内食は出ないかもしれません」
そう言われていたのに、
ちゃんと、機内食は出てきた。
でも僕は、
そもそも飛行機で機内食を食べた経験がない。
これ、食べていいのか?
いつ食べるものなのか?
誰にも聞けず、
トレーを前に、ただ固まっていると――
スチュワーデスが、
韓国語で、たぶん、こう言った。
「……食べないの?」
一気に緊張が走る。
僕は、またドキドキしながら、
そっとフォークを手に取り、
慌てて食べ始めた。
初めての国際線は、
こんな小さなことで、
いちいち心臓に悪かった。
乗り継ぎ空港で感じた「世界」
インチョン空港に到着。
周囲では、
あらゆる国の言葉が飛び交っている。
その音に包まれながら、
ようやく実感が湧いてきた。
「ああ、本当に世界に出たんだ」
初めての国際線乗り継ぎ。
間違えたらどうしようという不安で、
搭乗締め切り時刻を、何度も何度も確認した。
今度は、
ちゃんと予定していた席に座れた。
旅慣れたタンクトップ男の一言
ソウルから、バンコクへ向かう機内。
隣に座ったのは、日本人の男性だった。
タンクトップ姿で、
いかにも旅慣れた雰囲気。
少し話すと、
彼は、あっさりこう言った。
「すぐ慣れるよ。」
それだけの一言だったのに、
なぜか、妙に心に残った。
バンコク到着、五感が追いつかない
バンコク国際空港に到着したのは、夜。
飛行機のドアが開いた瞬間――
一気に押し寄せてきたのは、
熱気。
湿気。
そして、におい。
「暑い」
「なんだ、このにおい?」
「ここ、どこだ?」
体も、頭も、
まったく追いついていなかった。
このときの僕は、
まだ知らない。
この国が、
“訳のわからないワンダーランド”
であることを。
(第3話へ続く)


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