【第6話】タイ編/3日目①/チェンマイ

11人の外国人と、あいのり。


この日から、
僕は 2泊3日のトレッキングツアーに参加する。

少数民族の村へ向かい、
山の中で寝泊まりする旅だ。

そのときの僕は、
この選択を、
後悔することになるなんて――
まったく思っていなかった。


チェンマイ到着

タイ3日目。

目が覚めてから数分後、
列車はチェンマイ駅に到着した。

2等寝台のベッドは、
決して寝心地がいいとは言えない。

でも、
列車という閉ざされた空間のおかげか、
昨日よりは、
少し安心して眠れた気がする。


名前を書いた紙

ホームに降りると、
僕の名前が書かれた紙を持つ男性が立っていた。

……あ、本当に来てる。

少数民族の村行きのバンと運転手の予約は、
ちゃんと出来ていたらしい。

あれだけ疑っていた
「政府観光庁」は、
どうやら本物だったようだ。


荷物を預ける、という不安

駅からバンで15分ほど走り、
一つの建物に到着した。

ここで、
2泊3日のトレッキングに必要な荷物を
小さなレンタルリュックに詰め替える。

僕の大きなバックパックは、
物置で預かってくれるという。

……物置。

そして、
南京錠が必要だと言われた。

僕は、
南京錠を持っていなかった。


まさかの、バイク二人乗り

「南京錠、買いに行こう。」

そう言われて、
案内されたのは――
まさかのバイク。

しかも、
二人乗り。

会ったばかりのタイ人のバイクの後ろに乗る。
初海外、3日目にして、
すでに想定外。


クリカンという男

この運転手、
後に僕が勝手に
「クリカン」と呼ぶことになる男だ。

背は低め。
ハンサムで、
どこかイケてるあんちゃん。

僕は、
出会ったばかりのクリカンにしがみつきながら、
チェンマイの街を疾走した。


怪しすぎる鍵屋

セブンイレブンなど、
南京錠が売っていそうな店を
何軒か回った。

……ない。

そして辿り着いたのが、
一軒の鍵専門店。

どう見ても、
あやしい。

明らかに、
あやしい。

でも、
連れてきてもらった以上、
買わないわけにもいかない。

値段は、
意外にも安かった。
むしろ、コンビニより安い。


疑いながら、預ける

選択肢のない僕は、
南京錠を購入した。

でも、
疑心暗鬼の僕は思う。

(この南京錠、
 合鍵、絶対たくさんあるよな……)

だから、
預けるバックパックには、
最悪盗まれても
買い直せるものだけを入れることにした。

諦めに近い気持ちで、
物置に鍵をかけた。


いよいよ出発

再びバンに乗り込み、
いざ出発。

目的地は、
ドイ・インタノン国立公園。

そこまで約30分。

そこからは、
徒歩で村へ向かう予定らしい。


見知らぬ11人

ツアーメンバーは、
僕たちを含めて11人。

それに、
タイ人ガイドが2人。

みんな、
英語が話せる。

話せないのは、
僕たちだけだった。

気まずい。
こちらが勝手に
空気を重くしている気がして、
さらに気まずい。


勝手に、あだ名をつける

軽い自己紹介が終わる頃、
僕は少しだけ、
メンバーのキャラクターが見えてきた。

そこで、
勝手に呼びやすいあだ名をつける。


ガイド陣

・タイ人ガイドで、少しオカマっぽい
 カワタ

・タイ人運転手で、背が低いハンサム
 クリカン


参加メンバー

・ロンドン出身、
 一番おしゃべりな坊主頭
 ジェームズ

・イギリス人の金髪女子2人組
 タイラーミク

・アメリカ人で日本のゲームに詳しい
 元軍人 と、
 その彼女で眼鏡の
 バテ子

・オランダ人で、
 すでにかなりぼったくられたと言っていた
 ボンボン と、
 その彼女の
 デカ子

・オーストラリア人で、
 ホラー映画で最初にやられそうな顔の
 ホラー と、
 その彼女でおとなしい
 ウス子


不安な予感

さっき出会ったばかりの、
見ず知らずの外国人たち。

この11人と、
山の中で2泊3日過ごす。

そう考えると、
正直、
先が思いやられた。

バンは、
まもなく国立公園に到着。

ここから先は、
徒歩での移動になる。

そしてこのあと――
この旅で、
一番きつい試練が待っていた。


(第7話へ続く)

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