アラン①『幸福論』入門|「幸福は作るもの」5つの基本

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「気分のいい日と悪い日の波に、振り回されている」
「アドラーで地盤はできたけど、別の角度の幸福論も学びたい」
「アランって聞いたことはあるけど、難しそう」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。前シリーズ「アドラーの教え編」を全30回で完結させ、今回から新シリーズ「3大幸福論編」がスタートします。第1弾はアラン編。その記念すべき第①回として、アラン『幸福論』全体像を5つの基本に整理してお届けします。

アドラー編㉚で橋を架けたとおり、3大幸福論編はアラン→ヒルティ→ラッセルの順で、各30回。今回はそのトップバッター、フランスの哲学者アラン(本名エミール=オーギュスト・シャルティエ/1868-1951)の『幸福論(プロポ)』に分け入っていきます。

幸福は天気じゃない。自分の身体と振る舞いで、自分の中に作るものだ。

ケアマネとして高齢のご利用者と関わるなかで、「気分の波が大きい方」と「波が小さい方」の差は、ほとんど毎日の習慣の細部にあると感じてきました。アランの幸福論は、まさにその「日々の振る舞いで気分を整える」実践哲学です。アドラーが心理から幸福を語ったように、アランは身体と所作から幸福を語ります。

アラン『幸福論』5つの基本

ここからご紹介する5つは、アランの93のプロポ(短い随想)を、入門者向けにぎゅっと圧縮した核です。一気に取り入れる必要はありません。ピンと来た1つから、明日の朝にそっと試してみてください。

① 幸福は「感じる」ものじゃなく「作る」もの

アランの最大の主張は、幸福は外から訪れる感情ではなく、自分の振る舞いで作り出す状態だということです。「幸福になったら機嫌よくする」のではなく、「機嫌よくしていれば幸福になる」。順番が、逆なんです。

アドラー編⑳の中間総括で扱った「自分の物差し」と、地続きの発想です。幸福は感じ取るものではなく、自分の選択でこしらえる状態。これがアラン哲学への入口になります。幸福は名詞ではなく、動詞――アランはそう、私たちに渡してくれます。

② 気分は天気じゃない。自分で整えるもの

私たちはつい「今日は気分が悪い」と、まるで天気予報のように気分を扱います。でもアランは、それを否定します。気分は身体と振る舞いの結果であって、外側から降ってくる雨ではない。だから、整えられるものなのです。

朝の散歩、姿勢、深呼吸、ひと言の「おはよう」――どれも気分の整え方です。気分に支配されるのではなく、気分を整える側に立つ。アドラー編⑨で扱った「アドラーを毎日の習慣にする」とぴたりと重なる考え方で、これがアラン的な幸福の出発点になります。

③ 想像力に飲まれない

アランがしきりに警戒したのが「想像力の暴走」です。私たちを苦しめる恐怖や不安の多くは、現実ではなく頭の中で勝手にふくらんだ想像。「あの病気かもしれない」「失敗するかもしれない」――想像は現実より、ずっと重い負荷を心にかけます。

アドラー編⑯不安編、⑱お金不安編で扱った「漠然と具体を分ける」と地続きです。アランは「想像で苦しむな、現実だけを見よ」と繰り返します。これは現代のSNS時代にこそ、深く刺さる教えになるはずです。

④ 体から心を整える――憂鬱は姿勢から

アラン『幸福論』を貫く重要な発想に、「心が体を動かすのではなく、体が心を動かす」というものがあります。憂鬱なとき、人は猫背になる。逆に、姿勢を伸ばすと、不思議と気分が上がる。これは現代の身体心理学とも合致する、100年前の鋭い観察です。

アドラー編⑯不安編で触れた「今ここに体を戻す」と、まっすぐつながります。アランの実践は、心に直接働きかけるのではなく、まず身体に働きかける。歩く、深呼吸、口角を上げる――どれも体から始めるのが特徴です。

⑤ ほほえみは出発点、結果じゃない

アランの中で最も有名な教えのひとつが「ほほえみ」です。「幸福だからほほえむのではない。ほほえむから、幸福になる」――これがアランの逆説です。順序を逆にすると、世界の見え方が変わります。

朝、鏡の前で口角を上げる。気分が乗らなくても、まず形から入る。アドラー編㉘「ありがとうを仕組みにする」と同じ発想です。外形が内面を作る――これがアラン的な幸福術の核であり、明日の朝から試せる、いちばん小さな実践になります。

Colorful clouds and blue sky with water reflection
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つの基本を読んで「アランの『幸福論』を、原典から味わいたい」と感じた方には、『幸福論』(アラン著・神谷幹夫訳/岩波文庫)がおすすめです。アラン本人が書いた93篇のプロポを丁寧に翻訳した、日本語のスタンダード。短い随想の集まりなので、毎日ひとつずつめくる読み方ができます。

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アランの幸福は「身体と振る舞い」から始まる

幸福は作るもの、気分は整えるもの、想像に飲まれず、体から心を整え、ほほえみから始める――この5つは、アラン哲学の核です。アドラーが心理学から幸福を語ったとすれば、アランは身体と所作から幸福を語る哲学者。アドラーとは別の角度から、毎日の暮らしを整える静かな知恵を渡してくれます。

上機嫌でいられない日があってもいい

アランの教えを学んでも、気分が沈む日はあります。それでいいんです。完璧な「上機嫌」を目指さず、今日できる小さな振る舞い――深呼吸、ひと言、ほほえみ――から始めれば十分。アランは「気分は習慣だ」と言いました。一度の失敗で、習慣は崩れません。明日また、姿勢を伸ばして、ほほえんでみるだけで大丈夫です。

2019 - НПП Подільські Товтри - 02
Photo: Moahim / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

今回の学びを「すぐ手にとってめくれる形」で持ちたい方には、『幸福論』(アラン著・齋藤慎子訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)もおすすめです。読みやすい現代語訳と図解で、原典のエッセンスを通勤・通学のスキマ時間にもサクッと読める一冊。岩波文庫が読みにくいと感じた方の入口にぴったりです。

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シリーズの今後について

次回②は「アラン『幸福論』の核──気分・身体・行動を整える5レッスン」をお届けします。①の入門編で見た5つの基本を、もう一段深く実践レベルに落としていきます。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定。続いてヒルティ編・ラッセル編も各30回でお届けします。

このシリーズの他の記事

本記事は「3大幸福論編・アラン編」の第①回です。シリーズの記事は全30回まで順次公開予定。前シリーズ「アドラーの教え編」の橋渡し回も、あわせてどうぞ。

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