子育てに自信が持てない親へ|自分を責める人に効く4哲学者の処方箋

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SNSを開けば、きちんとした手作りごはん、笑顔の親子、丁寧な暮らし。
それに比べて、うちは怒ってばかり、手抜きばかり。「私、ちゃんと親をやれているのかな」。
子どもの寝顔を見ながら、「ごめんね」と心の中でつぶやく夜がある。

こんにちは。社会福祉士・ケアマネジャーで、二児の父の40代パパです。新シリーズ「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」第18話のテーマは、まじめな親ほど陥る「子育てに自信が持てない・自分を責めてしまう」です。

私も「いい親になれていない」と落ち込む夜を、何度も過ごしてきました。でも、自分を責めるほど、心の余裕は減り、子育てはさらにつらくなる。今日は、自分を責めるループから抜け出すための、4人の哲学者の処方箋を5つお届けします。

先に、いちばん大事なことを。「自信が持てない」と悩めるのは、あなたが真剣に子育てに向き合っている証拠です。どうでもいい人は、悩みません。問題は、あなたの親としての力ではなく、自分を採点する物差しが厳しすぎること。その物差しを、やさしいものに替えていきましょう。

「不完全である勇気を持とう。完璧な人間など、どこにもいないのだから」

——アドラー心理学の趣旨より

福祉の現場で、たくさんの家族を見てきて思うのは、「完璧な親」など一人もいない、ということです。みんな、迷い、間違え、それでも子を思っている。子どもにとって大切なのは、完璧な親ではなく、自分を気にかけてくれる親がいること。その一点で、あなたはもう十分に親をやれています。

子育てに自信が持てない人に効く 5つの処方箋

処方箋① 「完璧な親」を目指すのをやめる(アドラー)

アドラー心理学の「不完全である勇気」は、親にこそ必要です。「いい親でなければ」と完璧を課すほど、できていない自分が目につき、自信を失います。でも、完璧な親など、この世に存在しません。みんな不完全なまま、子育てをしています。

だから、「完璧な親」という幻を、そっと手放す。「不完全だけど、精一杯やっている親」で、十分に合格です。むしろ、失敗したり謝ったりする親の姿は、子どもに「人は完璧でなくていい」と教える、生きた教育になります。不完全を許せた分だけ、子育ては軽くなります。

処方箋② 「よその親」と比べるのをやめる(ラッセル)

ラッセルは、比較こそ不幸の源だと説きました。自信を失う最大の原因は、たいてい「よその親」との比較です。特にSNSは、各家庭の「いちばんいい瞬間」だけを並べた展示場。それと自分の日常を比べれば、誰だって見劣りして当然です。

でも、画面の向こうの完璧そうな親も、見えないところでは怒鳴り、落ち込んでいます。比べる相手を、よその親ではなく「昨日の自分」にする。「昨日より、ちょっと優しくできた」。比較の毒を抜くだけで、自分の子育てが、ちゃんと前に進んでいることに気づけます。

処方箋③ 自信より先に、まず「上機嫌」でいる(アラン)

アランは、上機嫌は意志だと言いました。「自信がついてから機嫌よくしよう」と思っていると、いつまでも始まりません。順序は逆でいい。まず機嫌よく過ごすことで、心に余裕が生まれ、結果として子育てもうまく回り出します。

そして、親が上機嫌でいることは、それ自体が最大の子育てです。子どもは、立派なしつけよりも、親の笑顔から「世界は安心できる場所だ」と学びます。自信がなくても、機嫌よくはいられる。今日、口角を上げて子どもと過ごす。それだけで、あなたはちゃんと、いい仕事をしています。

大きな木の風景
Photo: Ermell / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

処方箋④ 誠実に「今日できたこと」を数える(ヒルティ)

ヒルティは、誠実に、足元の小さな積み重ねを大切にしました。自信が持てない人は、「できなかったこと」ばかりを数えています。怒ってしまった、ごはんが手抜きだった——減点ばかりの採点では、自信が育つはずがありません。

だから、一日の終わりに「今日できたこと」を、誠実に数えてみる。子どもを学校に送り出した、ごはんを食べさせた、笑い合う時間があった。当たり前に見えることこそ、立派な達成です。減点法から加点法へ。今日できたことを数える習慣が、しぼんだ自信を、少しずつふくらませてくれます。

処方箋⑤ 子どもだけでなく、自分も「勇気づける」(アドラー)

最後に、4人の知恵を束ねる視点を。アドラーの「勇気づけ」です。私たちは子どもを勇気づけることは学んでも、自分を勇気づけることは忘れがちです。でも、自分を責め続ける親より、自分をねぎらえる親のほうが、ずっと穏やかに子どもと向き合えます。

だから、子どもに「よくがんばったね」と言うように、自分にも「今日もよくやった」と声をかける。あなたは、毎日休みなく、誰かの命を支えている。それは、世界でいちばん尊い仕事のひとつです。自分を勇気づけられた分だけ、心に余白が生まれ、その余白から、子どもへの優しさがあふれ出します。

自分を責めるクセから、自由になりたい方へ

「人の目」や「べき思考」から自由になりたい方には、ベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)がおすすめです。他人と比べず、自分の人生を生きる勇気を、対話形式でやさしく解き明かす名著。「いい親でなければ」という呪縛から、心を解き放つヒントが詰まっています。

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悩めるのは、真剣に向き合っている証拠

5つの処方箋を束ねます。①完璧な親を目指さない(アドラー)、②よその親と比べない(ラッセル)、③自信より先に上機嫌(アラン)、④今日できたことを数える(ヒルティ)、⑤自分も勇気づける(アドラー)。今日は、ひとつだけ。

もう一度言います。子育てに自信が持てず悩めるのは、あなたが真剣で、優しい親だからです。その優しさを、子どもだけでなく、がんばっている自分自身にも向けてあげてください。あなたは、思っているよりずっと、いい親をやれています。

落ち込む夜が、あってもいい

「ダメな親かも」と落ち込む夜があっても、自分を責めすぎないでください。その落ち込みは、よりよい親であろうとする心の表れです。哲学は、完璧を強いる鞭ではなく、自分にやさしくなるための杖です。今日落ち込んだなら、子どもの寝顔を見て「今日も無事だった、それで十分」とつぶやいて、あなたも早く休んでください。

霧のかかる滝の風景
Photo: Dominicus Johannes Bergsma / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

処方箋④「今日できたことを誠実に数える」の原点を味わいたい方は、ヒルティの『幸福論』(草間平作・大和邦太郎 訳・岩波文庫)をぜひ。日々の小さな務めを誠実に積み重ねることの尊さを、静かな言葉で教えてくれる名著です。完璧でなくても、誠実に生きることの価値を、そっと思い出させてくれる一冊です。

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もっと体系的に学びたい・誰かに相談したい方へ

「いい親でなければ」という思い込みから自由になる——その土台になるアドラー心理学を体系的に学び直したい方には、資格講座という選択肢もあります。自分を勇気づける考え方が、独学よりも順序立てて身につきます。もっとアドラー心理学を極めたい方はこちら↓。

アドラー心理学資格講座

そして、もし自分を責める気持ちが強く、気分の落ち込みが続くなら——それは心からのサインです。専門家に話すのは弱さではなく賢さ。一人で抱え込む前に、誰かに気持ちを預けてください。オンラインで顔出しなしに話せるカウンセリングもあります。「まだ大丈夫」のうちが、いちばん効くタイミングです。

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このシリーズの今後について

「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」は、夫婦・子育て・職場の身近な悩みに、アドラーと3大幸福論の知恵を効かせていくシリーズです。次回は職場編「転職すべきか迷っている人への処方箋」。毎朝6時に更新していきます。今日は、自分に「よくやってる」と、ひとこと言ってあげてください。

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