つい子どもにキレる朝|怒鳴ってしまうママ・パパに効く4哲学者の処方箋

※本記事はアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト等)を含みます。

「早くして!」「何回言わせるの!」——朝の台所で、また大きな声が出てしまう。
泣きそうな子どもの顔を見て、はっと我に返る。本当はこんなふうに怒りたいわけじゃないのに。
子どもを送り出したあと、ひとり残った部屋で、小さく「ごめんね」とつぶやく。

こんにちは。社会福祉士・ケアマネジャーで、二児の父でもある40代のパパです。新シリーズ「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」第3話のテーマは、ほぼすべての親が経験する「つい子どもにキレてしまう朝」です。

正直に言うと、私も何度も怒鳴ってきました。そのたびに自己嫌悪に沈み、「いい親になれない」と落ち込んできました。でも哲学を子育てに持ち込んでから、朝の景色が少しずつ変わりました。今日は、アドラーと3大幸福論の知恵から、キレずに済む5つの処方箋をお届けします。

先に、いちばん大事なことを。朝キレてしまうのは、あなたが愛情不足だからではありません。むしろ「ちゃんとさせたい」という責任感が強いからこそ、間に合わない現実にカッとなる。問題はあなたの人格ではなく、「怒り以外の手札」を持っていないこと。手札さえ増えれば、朝は変えられます。

「機嫌のよい親であること。それが、子どもへの最大の教育である」

——アラン『幸福論』の趣旨より

福祉の現場で多くの親子を見てきて、確信していることがあります。子どもは、親の「言葉」より「機嫌」を吸い込んで育つ、ということ。だからこそ、しつけの正しさよりも先に、朝の空気をひとつ、軽くする。それが結局、いちばんの教育になります。

つい子どもにキレてしまう朝に効く 5つの処方箋

処方箋① 子どもを「下」に見ず、横に立つ(アドラー)

アドラー心理学は、親子を「縦の関係」ではなく「横の関係」でとらえます。上から「言うことを聞かせる」のではなく、人格としては対等な存在として、横に並んで協力する。キレてしまう朝は、たいてい「私が上、あなたは従う者」という縦の構図になっています。

「早くしなさい!」を、「どうしたら間に合うか、一緒に考えよう」に変える。命令を相談に変えるだけで、子どもは「責められる相手」から「協力する仲間」になります。横に立つと、不思議と声のトーンも下がります。子どもは、命令には反発しますが、相談には乗ってくるからです。

処方箋② しつけの前に、まず親が上機嫌を「する」(アラン)

アランは、上機嫌は意志だと言いました。そして親の機嫌は、子どもにとって毎朝の「天気」です。親が不機嫌だと、子どもは身を固くし、よけいに動けなくなる。急がせたいのに、急がせるほど固まる——あの悪循環の正体は、たいてい親の険しい表情です。

だから、正しいことを言う前に、まず口角を上げる。「おはよう」を不機嫌に言わない。それだけで子どもの動きはゆるみます。アランの知恵では、笑顔は結果ではなく原因です。機嫌よく振る舞うから、機嫌がよくなる。朝の5分、意識して上機嫌を「する」。これが最大のしつけです。

処方箋③ 「私心のない興味」で子どもを眺める(ラッセル)

ラッセルは『幸福論』で、幸福の鍵を「外への、私心のない興味」に置きました。子育てに翻訳すると、こうです。「私の思い通りにさせたい」という私心を一度わきに置いて、目の前の子どもを一人の面白い人間として眺めてみる。

靴下ひとつ履くのに時間がかかるのは、その子が今、別の世界に夢中だから。「遅い」とイラつく代わりに、「この子はいま何を見ているんだろう」と興味を向けると、怒りはふっと観察に変わります。私心を手放すと、子どもの行動は「敵」ではなく「不思議」になる。怒りの多くは、私心の量に比例します。

夕暮れの街灯
Photo: MichaelMaggs / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

処方箋④ 規律は、怒鳴りではなく「仕組みと誠実」で(ヒルティ)

ヒルティは『幸福論』で、規律と誠実を重んじました。子育てに移すと、規律は「その場の怒鳴り」ではなく「前もって整えた仕組み」で伝わる、ということ。毎朝同じことで怒っているなら、それは子どもの問題ではなく、仕組みが足りないサインです。

前の晩に服を並べておく。やることを絵カードにして貼る。時計を一緒に見る。怒鳴る回数は、仕組みの数だけ減ります。そして誠実とは、親が約束を守る背中を見せること。「早くしろ」と言う親自身がスマホを見ていないか。子どもは、言葉ではなく、親の誠実さを真似て育ちます。

処方箋⑤ 叱るより「勇気づけ」る(アドラー)

最後に、4人の知恵を束ねる視点を。アドラーの「勇気づけ」です。叱責は、その場では子どもを動かしますが、「自分はダメだ」という気持ちを残します。勇気づけは逆で、「できたこと」「やろうとしたこと」に光を当て、「自分はやれる」という土台を育てます。

「まだ着替えてないの!」ではなく、「お、もう靴下は履けたね」。同じ朝でも、欠けている所を指すか、進んだ所を指すかで、子どもの動きはまるで変わります。そして勇気づけは、親自身にも効きます。怒鳴らずに済んだ朝は、自分にも「今日はよくやった」と一言。親が自分を勇気づけられた分だけ、子どもにもやさしくなれます。

怒鳴らない子育てを、もっと深めたい方へ

「横の関係」や「勇気づけ」を、毎日の子育てで実践したい方には、熊野英一さんの『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館クリエイティブ)がおすすめです。怒鳴らずに子どもの自立を育てる声かけが、具体例つきで紹介されていて、忙しい朝にもすぐ試せます。社会福祉士の視点でも、現場感のある実践書です。

▶『アドラー式子育て』をAmazonで見る

怒鳴ってしまう自分も、ダメな親ではない

5つの処方箋を束ねます。①縦から横へ(アドラー)、②しつけの前にまず上機嫌(アラン)、③私心を手放して興味を向ける(ラッセル)、④怒鳴りではなく仕組みと誠実で(ヒルティ)、⑤叱るより勇気づける(アドラー)。全部は無理でいい。明日の朝、ひとつだけ。

そして、もし明日も怒鳴ってしまっても、自分を責めすぎないでください。怒鳴ったあとに「ごめんね、言い過ぎた」と子どもに謝れる親は、それだけで十分にいい親です。完璧な親より、間違えたら謝れる親のほうを、子どもはずっと信頼します。

うまくいかない朝が、あってもいい

子育ては、毎朝が一発勝負で、やり直しがきかないように感じます。でも実際は、明日もまた朝が来る。哲学は、できない自分を裁く道具ではなく、明日もう一度やさしくなるための杖です。今日キレてしまったなら、夜に子どもをぎゅっと抱きしめる。それだけで、朝のとげは溶けていきます。

穏やかな水辺の風景
Photo: Christian Ferrer / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

処方箋①「縦から横へ」の原点に触れたい方は、ベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)をぜひ。アドラー心理学を対話形式でやさしく解き明かす名著で、「課題の分離」や「横の関係」が、子育てにも夫婦にも職場にも効く——その土台が、一冊でつかめます。

▶『嫌われる勇気』をAmazonで見る

もっと体系的に学びたい・誰かに相談したい方へ

アドラー心理学を、子育てにも仕事にも効く形で体系的に学び直したい方には、資格講座という選択肢もあります。叱る子育てから、勇気づける子育てへ。その土台が、独学よりも順序立てて身につきます。もっとアドラー心理学を極めたい方はこちら↓。

アドラー心理学資格講座

そして、もし「イライラが止まらない」「自分を抑えられない」と感じる日が続くなら——専門家に話すのは弱さではなく賢さです。親が一人で抱え込むより、誰かに気持ちを預けたほうが、結局は子どもにもやさしくなれます。オンラインで顔出しなしに話せるカウンセリングもあります。「まだ大丈夫」のうちが、いちばん効くタイミングです。

公認心理師によるオンライン心理カウンセリングKimochi

▶ 人間関係・恋愛・仕事などの心理相談を始めるなら【Kimochi】(公認心理師・初月2,980円〜)

このシリーズの今後について

「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」は、夫婦・子育て・職場の身近な悩みに、アドラーと3大幸福論の知恵を効かせていくシリーズです。次回は職場編「日曜の夜が憂鬱な人への処方箋」。毎朝6時に更新していきますので、よければブックマークして、明日の朝にひとつ取り入れてみてください。

このシリーズの土台になった記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました