日曜の夜が憂鬱な人へ|月曜がしんどい人に効く4哲学者の処方箋

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日曜の夕方、あのテーマソングが聞こえてくると、胸の奥がすっと重くなる。
「また明日から一週間か」。せっかくの休みの後半が、月曜の予感で塗りつぶされていく。
布団に入っても、明日の会議や、あの人の顔が浮かんで、なかなか眠れない。

こんにちは。社会福祉士・ケアマネジャーとして、福祉という決して楽ではない現場で働いてきた、40代のパパです。新シリーズ「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」第4話のテーマは、働く人の多くが抱える「日曜の夜〜月曜の憂鬱」、いわゆるサザエさん症候群です。

私自身、職場の人間関係や責任の重さに押しつぶされそうになった時期があります。そのとき支えになったのが、アドラーと3大幸福論の考え方でした。今日は、月曜の重さを少し軽くする、4人の哲学者の処方箋を5つお届けします。

先に大事なことを。日曜の夜が憂鬱なのは、あなたが弱いからではありません。それは、まだ見ぬ月曜を、頭の中で何倍にもふくらませているから。実際の月曜より、想像の月曜のほうが、たいてい重い。だから処方箋は「現実を変える」前に、まず「想像との付き合い方を変える」ことから始めます。

「仕事は、うまく向き合えば、人生における最大の慰めのひとつになる」

——ヒルティ『幸福論』の趣旨より

介護の現場で、定年後に一気に元気をなくす方を何人も見てきました。仕事は、しんどさの源であると同時に、人とのつながりや「役に立てている」実感の源でもある。だからこそ、仕事を「敵」と決めつけず、付き合い方を少し変える。それが、月曜を生き延びるいちばんの近道です。

日曜の夜が憂鬱な人に効く 5つの処方箋

処方箋① 「貢献感」に立ち返る(アドラー)

アドラーは、人が幸福を感じる源を「共同体感覚」——自分は誰かの役に立っている、という貢献感——に置きました。日曜の夜が重いとき、頭の中は「評価されるか」「失敗しないか」でいっぱいです。主語が「自分がどう見られるか」になっている。

そこで、主語を「誰の役に立てるか」に戻してみる。明日の自分が、同僚や利用者やお客さんに、何をひとつ手渡せるか。たとえ小さくても「自分はここで役に立っている」と思い出せると、仕事は「評価される試験」から「貢献する場」に変わります。貢献感は、月曜の重さに効く、いちばん深い薬です。

処方箋② 日曜の夜こそ、上機嫌を「整える」(アラン)

アランは、上機嫌は意志であり、体から作れると考えました。憂鬱は、頭の中だけでなく、こわばった体にも宿ります。日曜の夜、ソファで明日を心配し続けると、体が縮こまり、気分はさらに沈む。これは悪循環です。

だからアランは、考えるより先に体を動かせと言います。少し散歩する。湯船に浸かる。背筋を伸ばして深呼吸する。明日の準備を10分だけして「やることは整えた」と体に教える。憂鬱を考えで消そうとせず、体から上機嫌を整える。月曜の朝の自分への、いちばん効くプレゼントです。

処方箋③ 不安の正体に、名前をつける(ラッセル)

ラッセルは『幸福論』で、漠然とした不安は、正体に名前をつければ半分は小さくなる、と説きました。日曜の夜の「なんとなく憂鬱」は、たいてい正体不明のままふくらんでいます。「月曜が嫌だ」の中身は、本当は何でしょう。

紙に書き出してみると、たいてい正体は絞られます。「あの人との10分の打ち合わせ」「溜めたメールの返信」。憂鬱の正体は、月曜まるごとではなく、その中の特定の数十分だったりします。名前がつけば、対策が立つ。「朝いちでメールだけ片づける」と決めるだけで、日曜の夜の靄は、ぐっと晴れます。

静かな山野の風景
Photo: Kreuzschnabel / CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons

処方箋④ 仕事を「祝福」として、小さく区切る(ヒルティ)

ヒルティは『幸福論』で、仕事こそ人生の慰めだと説き、「すぐに、小さく始めること」の力を重んじました。大きな塊を前にすると、人は腰が引けます。月曜の「一週間」を丸ごと想像すると、重くて当然です。

ヒルティの処方は、仕事を小さく区切り、まず最初の一歩だけに集中すること。「今週を乗り切る」ではなく「月曜の午前だけ」、さらに「最初の30分だけ」。始めてしまえば、たいてい流れに乗れます。そして一つ片づくたびに、小さな達成を味わう。仕事は祝福になり得る——それは、区切って、始めて、味わう人にだけ訪れます。

処方箋⑤ 「他人の評価」は相手の課題と切り分ける(アドラー)

最後に、4人の知恵を束ねる視点を。アドラーの「課題の分離」です。日曜の夜の憂鬱の多くは、「上司にどう思われるか」「同僚にどう見られるか」——つまり、自分ではコントロールできない他人の評価でできています。

でも、あなたにできるのは「自分の仕事を誠実にすること」まで。それをどう評価するかは、相手の課題です。相手の課題まで背負うから、月曜が二重に重くなる。「やることはやる。どう思われるかは手放す」。この線引きができると、肩の荷の半分は、実は他人の分だったと気づきます。手放した分だけ、日曜の夜は軽くなります。

職場の人間関係を、もっとラクにしたい方へ

月曜の憂鬱の多くは、仕事そのものより「人間関係」から来ています。職場の関係をラクにしたい方には、小倉広さんの『アドラーに学ぶ職場コミュニケーションの心理学』(日経BP)がおすすめです。上司・同僚・部下との関わりを、課題の分離と勇気づけの視点で軽くするヒントが詰まった一冊。月曜が、少し怖くなくなります。

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憂鬱は、まじめに生きている証拠

5つの処方箋を束ねます。①貢献感に立ち返る(アドラー)、②体から上機嫌を整える(アラン)、③不安の正体に名前をつける(ラッセル)、④小さく区切って始める(ヒルティ)、⑤他人の評価を手放す(アドラー)。全部はいりません。今夜、ひとつだけ。

そもそも、日曜の夜に憂鬱になれるのは、月曜にちゃんと責任を果たそうとしているからです。どうでもいい仕事には、憂鬱すら感じません。憂鬱は、あなたがまじめに生きている証拠。だからその気持ちを責めず、「明日の自分を守る合図」として、やさしく受け取ってあげてください。

気が重い日曜が、あってもいい

憂鬱な日曜があっても、自分を責めないでください。気の重さは、心が「少し休みたい」と送ってくれるサインでもあります。哲学は、無理に前向きになるための鞭ではなく、しんどい夜をやり過ごすための杖です。今夜は、明日のことを少しだけ手放して、温かいものでも飲んで、早めに眠ってください。月曜は、来てしまえば、案外なんとかなります。

静かな湖の風景
Photo: Krzysztof Golik / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

処方箋④「仕事は祝福」の原点を味わいたい方は、ヒルティの『幸福論』(草間平作・大和邦太郎 訳・岩波文庫)をぜひ。「すぐに、小さく仕事に取りかかる」ことの力や、誠実に働くことの意味を、静かな言葉で教えてくれる名著です。月曜の朝、机に向かう前に一節読むと、最初の一歩が軽くなります。

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そして、もし日曜の憂鬱が毎週ひどく、眠れない・涙が出るほどなら——それは心からの大切なサインです。専門家に話すのは弱さではなく賢さ。一人で抱える前に、誰かに気持ちを預けてください。オンラインで顔出しなしに話せるカウンセリングもあります。「まだ大丈夫」のうちが、いちばん効くタイミングです。

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このシリーズの今後について

「4人の哲学者に学ぶ 暮らしの実践編」は、夫婦・子育て・職場の身近な悩みに、アドラーと3大幸福論の知恵を効かせていくシリーズです。次回は夫婦編「感謝もねぎらいも言えない「空気みたいな関係」の処方箋」。毎朝6時に更新していきます。今夜の重さが、少し軽くなりますように。

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