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「漠然とした不安が、いつも胸の奥にある」
「考えてもしかたない、と頭ではわかっているのに眠れない」
「気づけば、明日のことばかり心配している」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編⑯、テーマは「不安・心配との付き合い方5レッスン」です。
⑮で見た「3つのライフタスクを回す」が動の整え方だとすれば、今回はもっと内側の話。胸の奥にじっとある「漠然とした不安」を、アドラーがどうほどいてくれるか――5つの実践に整理してお届けします。不安をゼロにする方法ではなく、上手に付き合うための小さな技術です。
不安は消すものじゃない。ほどいて、目の前のひとつに小さくしていくものだ。
ケアマネとして高齢者やご家族と関わっていると、いちばん人を疲れさせるのは「具体的な問題」より「漠然とした、これからどうなるんだろう」のほうだと感じます。具体的な不安は対処できますが、漠然は手の出しようがない。アドラーが持つのは、その漠然を具体にほどく静かな技術です。
不安・心配と付き合うアドラーの5レッスン
ここからご紹介する5つは、不安を消そうとせず、少し小さくしてから抱えるための実践です。眠れない夜の自分にそっと渡したい、5枚のカードと思ってみてください。ピンと来たものから、ひとつだけ試すで十分です。
① 不安の「目的」をやさしく問う
⑤の「目的論」で扱ったように、アドラーは感情に目的があると考えました。不安にも、ちゃんと目的があります。それはたいてい、「いま、なにかを大事にしたい」という気持ちの裏返し。仕事のことで不安なら仕事を、家族のことなら家族を、大切に思っているからこそ不安が出ているのです。
まずは不安に対して「いらないやつ」と扱わないこと。「いま、自分は何を大切にしたくてこの不安を出しているんだろう」と一度問うてみる。原因探しじゃなく、目的探しです。それだけで、不安の解像度がやわらかく一段下がります。
② 「今ここ」に体を戻す
不安は、たいていの場合未来か過去にいるもの。「これからどうなるんだろう」「あの時こうしておけば」――頭がそこに飛ぶほど、今の体は固くなります。アドラーは「いま、ここ」を生きる立場の哲学者でした。
対処はシンプルです。足の裏に意識を戻す、お湯の温度を感じる、息を3つ深く吐く――どれかひとつでいい。意識を「いま」に戻すだけで、頭の中の不安の音量はすっと下がります。⑨で見た「毎日の習慣にする」の応用編として、不安が来たら戻る合言葉を持っておきましょう。
③ コントロールできるかどうかで仕分ける
④で扱った「課題の分離」を、不安にも応用します。自分でコントロールできることと、できないことは、別物。天気、相手の機嫌、未来の経済、他人の評価――これらは自分の課題ではありません。それらに気を揉んでも、ただ疲れるだけ。
紙に2列を書いて、左に「コントロールできる」、右に「できない」と仕分けてみる。右の列に書いた不安は、いったん手放してOK。左の列の項目だけ、自分にできる小さな一歩を書き出す。これだけで、不安の地図がぐっと整理されます。
④ 漠然とした不安を「書いてほどく」
頭の中をぐるぐるする不安は、言葉にしないと、ほどけないものです。アドラー心理学では「私メッセージ」のように、自分の状態を言葉にする習慣を大事にします。漠然を漠然のまま抱えるから、ふくらむんです。
ノートでもスマホのメモでもいい。「何が、どう、不安か」を一行ずつ書き出す。書いた瞬間、「あ、こんなことだったのか」と縮むこともよくあります。書き出すことは、抱えるのではなく外に置くこと。手放しの第一歩です。
⑤ ひとりで抱えない、話して整える
⑥の「共同体感覚」は、不安のときにこそ効きます。アドラーは「人は人の中でしか癒えない」と捉えました。不安を抱え続けると、視野はどんどん狭くなる。だからこそ誰かに話すこと自体が、立派な対処になります。
正解を求めて話す必要はありません。「ちょっと聞いてくれる?」で十分。家族、友人、職場の同僚、専門家でも構いません。ケアマネの私からも言えますが、人は頼られると嬉しいもの。あなたが話すことは、関係をやわらかく結び直すことにもなります。
アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

不安は「消す」より「ほどく」
不安は、ゼロにしようとするほど、こちらを疲れさせます。目的をやさしく問い、今ここに体を戻し、コントロール可否で仕分け、書いて外に置き、誰かに話す――この5つはどれも、不安と戦う方法ではなく、不安をほどく方法です。胸の奥のもやもやを、目の前のひとつにしていく。それがアドラー流の不安との付き合い方です。
不安にのまれてしまう日があってもいい
5つどころか、1つも実践できない夜もあります。布団の中で頭が止まらない、それでいいんです。不安にのまれている自分を、責めないことのほうがずっと大事。朝になったら、ノートに一行書いてみる。それだけで、十分前に進んでいます。回復は螺旋。下がる日と上がる日を繰り返しながら、ゆっくり整っていきます。
あわせて読みたい一冊

シリーズの今後について
次回⑰は「介護・親世代との関わりに効くアドラー5レッスン」をお届けします。ケアマネジャーとしての現場感覚も交えながら、年を重ねた親との関係をアドラーの言葉でほどいていきます。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。
このシリーズの他の記事
- アドラーの教え編① 子育て・対人関係に疲れたときに効く「アドラー心理学の5つの基本」
- アドラーの教え編② 子育てで疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編③ 対人関係(職場・友人)で疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編④ 「課題の分離」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑤ 「目的論」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑥ 「共同体感覚」を育てる5レッスン
- アドラーの教え編⑦ 「勇気づけ」の実践5レッスン
- アドラーの教え編⑧ 「自己受容」を日常で続ける5レッスン
- アドラーの教え編⑨ アドラーを毎日の習慣にする5レッスン
- アドラーの教え編⑩ 怒り・イライラと付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑪ 劣等感とうまく付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑫ 仕事・キャリアで使うアドラー5レッスン
- アドラーの教え編⑬ 夫婦・パートナーシップに効くアドラー5レッスン
- アドラーの教え編⑭ 失敗・挫折から立ち直る5レッスン
- アドラーの教え編⑮ ライフタスク(仕事・交友・愛)を回す5レッスン


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