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「あの人と比べて、自分はいつも劣っている気がする」
「劣等感を消そうとしているのに、ふとした瞬間に戻ってくる」
「自分に自信が持てない、けど自信家の人も苦手」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編⑪、テーマは「劣等感とうまく付き合う5レッスン」です。
⑨⑩で日常への落とし込みを見てきました。ここからは、アドラー心理学の中心概念をひとつずつ深掘りしていきます。最初は劣等感。実はアドラーは、劣等感を「悪いもの」とは見ていません。むしろ全員が持つ自然な感覚で、使い方しだいで成長の燃料にも、足かせにもなると考えます。
劣等感は、人を弱らせる「重し」ではなく、前に進むための「燃料」にもなる。違いを分けるのは、感じ方ではなく使い方です。
福祉の現場では、年齢・体力・能力の差から劣等感を抱える方とたくさん関わってきました。劣等感そのものを消すのではなく「向き合い方を変える」ことで、人は驚くほど元気を取り戻します。今回はその使い方を、5つのレッスンでお伝えします。
劣等感とうまく付き合う5つのレッスン
劣等感を「消そう」とするほど、たいていは逆効果です。消すのではなく、扱い方を変えるのがアドラー流です。
① 劣等感は「悪いもの」ではない――アドラーの基本定義
アドラーは劣等感を「すべての人が持つ自然な感覚」と捉えました。生まれたときから他者と関わって生きる以上、「自分はまだ十分でない」と感じる場面は誰にでも訪れます。劣等感そのものは、消すべき欠陥ではありません。
大事なのは劣等感を「どう使うか」です。前に進むための原動力にする人もいれば、自分を縛る言い訳にする人もいる。「劣等感を持っている=ダメ」ではなく、「劣等感をどう扱っているか」が、その後の人生を分けていきます。
② 「劣等感」と「劣等コンプレックス」を区別する
アドラーは、健康な「劣等感」と、こじれた「劣等コンプレックス」を明確に分けました。「自分はまだ未熟だ、だから学ぼう」は劣等感。「自分はダメだ、だからやらない」は劣等コンプレックスです。
違いは「次の一歩につながるかどうか」。劣等コンプレックスは、劣等感を「やらない理由」に転用してしまった状態です。「○○だからできない」と頻繁に言い始めたら、自分が劣等感ではなく劣等コンプレックスに足を取られていないか、一度立ち止まる合図です。
③ 健全な劣等感は「成長エンジン」になる
「今の自分」と「なりたい自分」のあいだに距離があると、人は劣等感を覚えます。アドラーはこの距離こそが成長のエネルギー源だと考えました。距離がゼロなら、もう成長する余地はないからです。
大事なのは、距離を「絶望」ではなく「方角」として読むこと。「届かない」と落ち込むのではなく、「あちらへ進めばよいのだな」と地図として使う。劣等感は、目的地を教えてくれるコンパスとしても使えます。
④ 「優越コンプレックス(マウント)」も劣等感の裏返し
他人を見下す、自慢する、肩書きで上に立とうとする――こうした態度をアドラーは「優越コンプレックス」と呼びます。一見強そうですが、その根底には自分の劣等感を直視できない弱さがうずくまっています。
職場や友人関係でマウントを取ってくる人を見たとき、「この人は何かに脅かされているんだな」と思えると、振り回されずに済みます。攻撃に見える行動の裏側には、たいてい未処理の劣等感があります。強がりは弱さのサインと読み替えると、距離の取り方が穏やかになります。
⑤ 比較軸を「他人」から「昨日の自分」へ
劣等感がいちばんこじれるのは、自分より上に見える他人と比べ続けたとき。アドラーが勧める比較軸はただひとつ、「昨日の自分」です。
他人の100点と自分の50点を比べると永遠に追いつきませんが、昨日の自分の50点と今日の51点なら、確実に勝てます。「比べる相手を変える」だけで、劣等感は重荷から燃料に変わります。比較を完全にやめるより、比較先を取り替えるほうが現実的で、効きます。
アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

劣等感は「敵」ではなく「燃料」
劣等感をゼロにすることはできません。しないほうがいい、というのがアドラーの立場です。消そうとせず、向ける方向を変える。他人と比べる方向ではなく、昨日の自分と比べる方向へ、絶望ではなく方角として使う方向へ。同じ感情が、使い方ひとつで重荷にも翼にも変わります。
比べてしまう日があってもいい
SNSを開いて気持ちが沈んだ日。同僚や友人と比べて落ち込んだ日。そんな日があって当たり前です。大事なのはその夜に、「あ、また他人と比べてた」と気づくこと。気づきは、それだけで使い方を変える出発点になります。劣等感は何度でも、ちゃんと付き合い直せます。
あわせて読みたい一冊

シリーズの今後について
次回⑫は「仕事・キャリアで使うアドラー5レッスン」。劣等感の使い方を職場という具体場面に応用して、「評価で疲れる」働き方から「貢献感で続く」働き方へ切り替えるコツを5つにまとめます。「アドラーの教え編」は、シリーズ全30回まで継続予定です。
このシリーズの他の記事
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- アドラーの教え編② 子育てで疲れたときに効くアドラー
- アドラーの教え編③ 対人関係(職場・友人)で疲れたときに効くアドラー
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- アドラーの教え編⑤ 「目的論」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑥ 「共同体感覚」を育てる5レッスン
- アドラーの教え編⑦ 「勇気づけ」の実践5レッスン
- アドラーの教え編⑧ 「自己受容」を日常で続ける5レッスン
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- アドラーの教え編⑩ 怒り・イライラと付き合う5レッスン
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