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「悪い想像が頭を離れず、夜眠れない」
「ニュースを見ると、なぜか不安がふくらんでいく」
「考えてもしかたないことを、つい考えてしまう」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・アラン編③、テーマは「想像力との付き合い方5レッスン」です。
②で「気分・身体・行動を整える」を扱いましたが、その整いをいちばん壊しにかかるのが「想像力」です。アランは93篇のプロポで何度も繰り返しました――「人を苦しめるのは現実ではなく、想像である」と。今回はその想像力との付き合い方を、現代のSNS時代にも効く形で5つに整理してお届けします。
現実は意外と耐えられる。耐えられないのは、いつも想像のほうだ。
ケアマネ業務の現場で、いちばん人を消耗させているのも想像です。「もしも転倒したら」「もしも認知症が進んだら」――起きていない未来を毎日生きていると、心は確実にすり減ります。アランの想像力論は、その消耗を止めるための、100年前からの処方箋なんです。
想像力との付き合い方5レッスン
ここからご紹介する5つは、想像力を「敵」ではなく「整える対象」として扱うための実践です。想像をなくす方法ではなく、上手に付き合う方法。明日、頭がぐるぐるしたときに思い出していただければ十分です。
① 不安の99%は想像──現実と想像を分ける
アランはこう書きました。「人は現実によって苦しむより、想像によって苦しむことのほうがはるかに多い」。実際、起きていないことの心配で、私たちは毎日多くの時間を消耗しています。最初の一歩は、いま自分が苦しんでいるのは「現実」か「想像」か――この区別をちゃんと持つことです。
紙にいま気になっていることを書き出して、左に「事実」、右に「想像」と仕分けてみる。右の列の重さに気づいた瞬間、頭の中が一段静かになる。アドラー編⑯不安編で扱った「漠然を具体にほどく」の、アラン版です。
② 想像が暴走したら、体に戻る
②で扱った「体から心を整える」と同じ発想です。アランは「想像は頭の中の出来事」だから、頭で打ち消そうとせず、体に意識を移すと自然に収まると説きました。歩く、姿勢を伸ばす、深呼吸する、お湯を沸かす――どれでもいい。
夜中、想像が止まらないときほど効くのが「布団から出る」。トイレに立つ、水を飲む、洗顔する。体を動かすと、想像は燃料切れを起こす。これは現代の認知行動療法でも応用されている、シンプルだけど効く実践です。
③ 「悪い予想」より「目の前の動作」
未来を想像して苦しいとき、アランは「目の前の小さな動作に意識を戻せ」と繰り返しました。お皿を一枚洗う、椅子を一脚整える、メールを一通返す。未来は遠くて手が届かないけれど、目の前の動作は確実にこなせます。
アドラー編⑨「アドラーを毎日の習慣にする」と同じ発想。未来は不確実、目の前は確実。確実なことに手を出すだけで、想像の暴走は静かに止まります。介護の現場でも、悩みすぎる方には「まずお湯を沸かしましょう」とお伝えすることが多いんです。
④ 想像力を「敵」ではなく「燃料」に使う
アランは想像を全否定したわけではありません。想像力は暴走させると苦しめるが、向きを変えると創造の原料になる。同じ想像力でも、「悪いほうにふくらませる」のではなく「やってみたいこと」「今日試したいこと」に向けると、ぐっと毎日が動き始めます。
一日5分、ノートに「今日、やってみたいこと」を3つ書いてみる。それだけで、想像力は受け身ではなく、自分の道具になります。アドラー編⑤目的論編「過去の意味は変えられる」と同じく、想像も使い方次第で味方になるのです。
⑤ ニュース・SNSの「想像源」と距離を取る
現代の私たちの想像を暴走させているのは、たいてい外部からの情報です。ニュースの不安、SNSの誰かの幸福、見出しのショッキングな言葉――これらは想像の燃料を絶えず投下してきます。アランの時代になかった構造ですが、彼の処方は今こそ効きます。
スマホの通知を切る、ニュースを見る時間を1日1回に限る、就寝1時間前は画面を見ない――想像の燃料を、自分で絞る。アドラー編⑲SNS編で扱った「自分の物差しを取り戻す」と地続きで、現代人にとっていちばん効く実践のひとつです。

アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「アランの哲学的背景まで、もう一歩深く理解したい」と感じた方には、『NHK「100分de名著」ブックス アラン 幸福論』(合田正人/NHK出版)がおすすめです。明治大学の合田正人教授が、アランの93篇のプロポを4回構成で丁寧に解説。アランの想像力論を、哲学の流れの中で位置づけて理解できる一冊です。
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想像と上手につきあえれば、人生は半分軽くなる
現実と想像を分け、暴走したら体に戻り、悪い予想より目の前の動作、想像を燃料に使い、外からの想像源と距離を取る――この5つはどれも、想像と戦う方法ではなく、想像をほどく方法です。アランが100年前に渡してくれた処方は、SNS時代の現代にこそ刺さります。
想像にのまれてしまう日があってもいい
夜中に頭が止まらない日、ニュースを見て胸が重くなった夕方、SNSで自分が小さく感じた朝――どれも、あって当然です。想像にのまれている自分を、責めないことのほうが大事。アランは「想像は習慣だ」と捉えました。一度の暴走で人生は決まりません。明日また、深呼吸ひとつから戻れば、それで十分です。

あわせて読みたい一冊
アラン『幸福論』を、読みやすい翻訳でじっくり読みたい方には、『幸福論』(アラン著・石川湧訳/角川ソフィア文庫)もおすすめです。簡潔で明快な日本語で訳された、文庫サイズの一冊。岩波文庫が硬く感じる方にもなじみやすい、入りやすい翻訳です。
シリーズの今後について
次回④は「怒り・不機嫌との付き合い方5レッスン」をお届けします。アランが「伝染する」と警鐘を鳴らした不機嫌の扱いを、毎日のサイズに落として整理します。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定です。


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