アラン②「気分・身体・行動」5レッスン|上機嫌を作る

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「気分のいい日と悪い日の差が、毎日大きすぎる」
「どうすれば、波を小さくできるんだろう」
「気分を整えるって、具体的に何をすればいい?」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・アラン編②、テーマは「アラン『幸福論』の核──気分・身体・行動を整える5レッスン」です。

①では「幸福は作るもの」というアランの全体像を見ました。今回はそのなかで最も実践的な核――気分・身体・行動の三角形を、毎日のサイズに落としていきます。アランが93篇のプロポで繰り返したのは、結局のところ「小さな振る舞いが、上機嫌を作る」ということでした。

上機嫌とは、待つものではなく、作るもの。小さな振る舞いの積み重ねが、それを支える。

ケアマネ業務の現場で気づいたことがあります。利用者さんの気分は、不思議と介護者の表情と所作と連動する。同じケアでも、笑顔と深呼吸を整えた介護者と関わった日は、利用者さんもおだやかになる。アランはこの「身体と気分の連動」を、100年前から鋭く見抜いていた哲学者です。

気分・身体・行動を整える5レッスン

ここからご紹介する5つは、アランの実践哲学の核。頭で理解するより、身体で覚えるタイプの教えです。明日の朝にひとつだけ試してみてください。続ければ、波の振れ幅がじわっと小さくなります。

① 気分は習慣──毎日に組み込む

アランは「気分は意志の力ではなく、習慣の力で整う」と説きました。意志で気分を抑え込もうとすると、たいてい疲れます。代わりに、気分を整える小さな所作を、毎日に組み込んでしまう。朝の歯磨き、夜の風呂、寝る前のひと言――そんな枠に、気分の整え方を寄生させるのがコツです。

アドラー編⑨で扱った「アドラーを毎日の習慣にする」と地続きの発想。気分は天気じゃなく、習慣の産物。続ければ、波の振れ幅は確実に小さくなります。気分との戦いをやめて、習慣に任せる。これが第一歩です。

② 体を動かせば、心が動く──歩く・伸ばす・深呼吸

アラン哲学の最重要ポイントが「心が体を動かすのではなく、体が心を動かす」という発想です。憂鬱なときに人は猫背になり、姿勢を伸ばすと不思議と心が軽くなる。だからアランは、気分を整える最短ルートは「身体を動かすこと」だと言い切ります。

5分の散歩、肩を回す、深呼吸を3つ――どれでもいい。気分が沈んだら、まず頭ではなく身体に手を入れる。アドラー編⑯不安編「今ここに体を戻す」と同じ実践で、考えるより先に動くことで、心は静かに整います。

③ 顔の表情から心を作る──ほほえみとあくび

アランの中でも特に有名なプロポが「ほほえみ」と「あくび」です。幸福だからほほえむのではない、ほほえむから幸福になる。緊張をほどきたいなら、あくびを真似する。表情の筋肉を動かすと、神経系がそれに合わせて整います。これは現代の身体心理学とも合致する観察です。

朝、鏡の前で口角を1cm上げてみる。深呼吸とともに、わざとあくびをしてみる。外形が内面を作る――この発想は、子育てや介護の現場でも応用が効きます。仏頂面の人と向き合うときほど、こちらが先にほほえむ。すると不思議と、相手の表情もやわらかくなります。

④ 行動が先、感情が後

アランが繰り返した名言があります。「感情に任せて行動するな、行動を先に整えれば、感情がついてくる」。やる気が出るのを待つから、いつまでも動けない。動き始めれば、やる気はあとから生まれる。これがアラン流の「上機嫌の作り方」です。

「お湯を沸かす」「机を片付ける」「メールを1通返す」――どれでもいい。感情の前に、行動を先に置く。アドラー編⑭挫折編で扱った「一歩を分割する」と同じ実践です。気分が沈んだ朝こそ、いきなり大事をやろうとせず、最小の行動から始めましょう。

⑤ 不機嫌を貯め込まない──流す技術

アランは「不機嫌は伝染する」と何度も警鐘を鳴らしました。自分の不機嫌を家族や職場に持ち込めば、それは確実に周囲を侵食します。だから不機嫌を貯め込まずに、その日のうちに流す技術が必要です。

流し方は単純でいい。散歩、シャワー、寝る前のストレッチ、好きな音楽、誰かへの「ありがとう」――一日の終わりに、不機嫌の残りカスを身体で流す習慣を持つ。これだけで、翌朝の心の重さがガラッと変わります。アランが渡してくれる、いちばん地味で効く実践です。

Bergtocht van Gimillan (1805m.) naar Colle Tsa Sèt
Photo: Dominicus Johannes Bergsma / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「アランの教えを、もっと実践レベルで使いこなしたい」と感じた方には、『超訳 アランの幸福論』(許成準)がおすすめです。アラン『幸福論』の主張を実用的な部分に絞って超訳し、現代の事例で解説した一冊。仕事・恋愛・人間関係――身近な場面ごとにアランの言葉が使える形になっています。

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上機嫌は「待つ」より「作る」

気分を習慣に組み込み、体を動かして心を動かし、表情から心を作り、行動を感情の前に置き、不機嫌を貯めずに流す――この5つは、すべて「上機嫌を作る所作」です。アランは哲学者なのに、教えは驚くほど実践的。頭でわかった気にならず、身体で覚えるほうが、ずっと早く効きます。

整えられない日があってもいい

5つどころか1つも実践できない日、不機嫌を撒き散らしてしまった夜、布団から出られない朝――どれも、あって当然です。整えられない日のある自分を、責めないことのほうがずっと大事。アランは「気分は習慣だ」と言いました。一日の失敗で、習慣は壊れません。明日また、深呼吸ひとつから始めれば十分です。

A small loch in the saddle between Beinn an Dothai
Photo: Michal Klajban / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

アラン『幸福論』を、ビジネス書のような語り口で読みたい方には、『幸福論』(アラン著・村井章子訳/日経BP)もおすすめです。経済書翻訳でも知られる村井章子氏による、読みやすく現代的な日本語訳。仕事や働き方の文脈でアランを読みたい方にぴったりの一冊です。

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シリーズの今後について

次回③は「想像力との付き合い方5レッスン」をお届けします。アランが特に警戒した「想像力の暴走」を、現代のSNS時代にも効く形でほどく実践を整理します。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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