アラン㉒「介護・親世代」5レッスン|介護する側の上機嫌が技術

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「親の介護で、自分の上機嫌が消えていく」
「親の不機嫌が伝染して、家族全員がぎくしゃくする」
「介護の毎日に、もっと整える視点がほしい」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・アラン編㉒、テーマは「アランに学ぶ介護・親世代との関わり方5レッスン──ケアマネ視点で」です。

アラン編は哲学色が強くなりがちですが、今回はそれを介護現場の実感と重ね直します。アランの「身体・不機嫌・上機嫌」の哲学は、介護家族の現場でこそ最も力を発揮します。ケアマネとして日々お伝えしている知恵を、アランの言葉と重ねて5つに整理してお届けします。

介護する側の上機嫌が、いちばんの介護技術。

ケアマネ業務でいちばんお伝えしたいのが、「介護される人より、介護する人の機嫌が、その家庭の空気を決める」こと。これはアランの「不機嫌は伝染する」を、介護現場で何度も確認した結論です。今日はその核を、現場のリアルとともに渡します。

介護・親世代との関わり方アランの5レッスン

ここからご紹介する5つは、介護のテクニックではなく「介護する側の自分を整える」実践です。介護される人を変える話ではなく、介護する自分を整える話。これがアラン的なアプローチです。

① 介護する自分の「上機嫌」が、最大の技術

アラン編①②でも繰り返した「上機嫌は最大の贈り物」を、介護現場に持ち込みます。介護する側の表情・声色・所作が、介護される側の安心感と機嫌をまるごと決める。これは現場で何度も実証されてきた真実です。

親の部屋に入る前、ひと呼吸。声をかける前、ひと笑顔。自分の上機嫌を先に整える。これだけで、親の反応が変わります。アドラー編⑰介護編「親をひとりの人として見る」とも完全に重なる実践です。

② 親の不機嫌を「貯水池」にならない

アラン編④で扱った「不機嫌は伝染する」「貯水池にならない」が、介護現場でいちばん効きます。親の不機嫌を真に受けるほど、自分が消耗する。だから受け取ったら身体で外に流すのが正解です。

深呼吸、トイレに立つ、ベランダに出る、外で5分歩く――どれでもいい。介護現場で疲弊している方ほど、この「外に逃がす技術」が足りていません。今日から1つだけ、自分の流す習慣を持ってください。

③ 想像で苦しまない──「もしも」を切る

アラン編③で扱った「想像力との付き合い方」を、介護にも応用します。「もしも転んだら」「もしも認知症が進んだら」――起きていない未来の想像が、介護家族をいちばん消耗させます。

現実だけ見る、想像はそっと脇に置く。「今日できること」「今日感じていること」だけに意識を戻す。アドラー編⑰介護編、㉒介護家族セルフケア編と完全に同じ実践。想像を切るのが、介護を長く続けるコツです。

④ ストア派的に「変えられないこと」を受け入れる

アラン編⑲ストア派編の核を、介護に応用します。変えられないこと(親の老い、性格、過去)変えられること(自分の振る舞い、頼り先、休む時間)を仕分ける。これだけで、介護の重さがガラッと変わります。

「親の性格を変えよう」とは思わない。「親の振る舞いを直そう」と力まない。代わりに、自分が頼れる先を探し、休む時間を確保する。これは私自身、ケアマネ業務で日々お伝えしている設計です。

⑤ 「ひとりで抱えない」──身体で頼る

アラン編⑰孤独編「孤独感は人を求める合図」を、介護にも応用します。介護はひとりで抱えると、確実に潰れます。頼ることは、賢さの証拠。家族、ケアマネ、地域包括支援センター、福祉サービス、友人――誰でもいい。

特に効くのが「身体的に離れる」こと。ショートステイ、デイサービス、訪問介護――これらは贅沢ではなく、介護を続けるための投資です。頼ることへの罪悪感は、アランが何度も警告した「自分を縛る想像」。今日から手放しましょう。

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Photo: Andreas Eichler / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「アラン哲学を、心と身体の両方から介護に応用したい」と感じた方には、『心と身体に響く、アランの幸福論』(合田正人/宝島社)がおすすめです。NHK「100分de名著」アラン編の解説者・合田正人教授による解説書。心身一如の視点が、介護の場でこそ効きます。

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介護は「がんばる」より「整える」

上機嫌を技術にし、不機嫌の貯水池にならず、想像で苦しめず、変えられないことを受け入れ、ひとりで抱えない――この5つは全部、介護を持続させるための整え方です。アラン哲学はストイックに見えて、実は介護家族をやわらかく支える知恵の宝庫です。

やさしくなれない日があってもいい

親に強く当たった日、家を出たくなった夕方、頼ることに罪悪感を感じた夜――どれも、あって当然です。やさしくなれない自分を、責めないでください。介護は短距離走ではなく、長い旅。60点を続けるほうが、100点を1日だけ取るよりずっと尊い。アラン哲学は、その60点を許してくれる教えです。

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Photo: This Photo was taken by Timothy A. Gonsalves. Feel / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

アラン『幸福論』を、岩波文庫の信頼ある翻訳で介護家族の手元に置きたい方には、『幸福論』(アラン著・神谷幹夫訳/岩波文庫)もおすすめです。介護の合間に1篇ずつ開いて、心を整える相棒として最適。「不機嫌」「上機嫌」「想像力」の章だけ読み返すのも、立派なケアです。

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シリーズの今後について

次回㉓は「アランに学ぶ人生後半・老いる勇気5レッスン」をお届けします。自分自身の老いを、アランの言葉でやわらかく受け止める実践を整理します。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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