アドラー流㉑「子どもの巣立ち・親離れ」5レッスン

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「子どもがだんだん親離れしていく、寂しい」
「進路や恋愛、口を出したいけど我慢している」
「親としての役割が終わったみたいで、寄る辺ない」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編㉑、テーマは「子どもの巣立ち・親離れに効くアドラー5レッスン」です。

⑳の中間総括を経て、シリーズ後半に入ります。後半最初は子育てのいちばん難しい時期──巣立ち。「育てる」から「手放す」への移行を、アドラーの言葉でほどく実践を5つに整理してお届けします。

巣立ちは「失う」ではなく「対等な大人として、改めて出会い直す」こと。

ケアマネとして高齢のご家族と話していると、晩年に「子離れができなかった」とこぼす方が一定数います。手放せないまま年を重ねた親は、自分の人生をどこかで止めてしまっている。アドラーは、この「止まり方」をほどく言葉を持っています。

子どもの巣立ちに効くアドラーの5レッスン

ここからご紹介する5つは、思春期の子をお持ちの方、すでに独立した子をお持ちの方、どちらにも効きます。子どもを手放すことは、自分の人生を取り戻すことでもあります。

① 子どもの「課題」と親の「課題」を切る

④で扱った「課題の分離」が、巣立ちの場面でいちばん大事になります。進路、交友、恋愛、就職――どれも基本的には子どもの課題です。親が代わりに悩んでも、子どもは育ちません。

「親の心配」は親の課題、「子どもの選択」は子どもの課題。混ぜないこと。心配する自分を抱えながら、子どもの選択は子どもに返す。これが巣立ち期のいちばんの技術です。

② 「心配」より「信頼」を渡す

⑦の「勇気づけ」を、巣立ち期は信頼の形で渡します。「心配だから」と先回りするほど、子どもの自己決定の筋肉は痩せていく。逆に「あなたなら大丈夫」とふっと渡すだけで、子どもは自分で立ち上がります。

信頼は無責任ではありません。「失敗してもいい、ちゃんと戻れる場所はある」と背中側で支えるのが信頼。先回りも放置でもない、第三の支え方が信頼です。

③ 親自身の「ライフタスク」を取り戻す

⑮で扱った3つのライフタスク(仕事・交友・愛)を、巣立ち期にもう一度回す番です。子育てに偏っていた重心を、仕事・自分の趣味・友人関係に戻す。これが寂しさをやわらかくほどく方法です。

巣立ちは「役割の終わり」ではなく、「親」以外の自分を生き直すスタート。後回しにしてきた友人にメッセージを送る、趣味を再開する、夫婦の時間を整え直す――どれもアドラー的な巣立ちの実践です。

④ 巣立ちを「失敗」じゃなく「成熟」に書き換える

⑤の「目的論」で、巣立ちの意味を書き換えます。子どもが離れていくのは、あなたの子育てが成功した証拠。「離れていく=寂しい」と意味づければ苦しいけれど、「離れていく=育てきれた」と意味づければ、誇らしくなります。

過去(手をかけた日々)は変えられない。でも、その意味は変えられる。「離れていったね、よくここまで育ったね」と内側で言える親に、子どもは何度でも戻ってきます。

⑤ 親子の関係を「上下」から「対等」へ

⑥の「共同体感覚」が、巣立ち後の親子に効きます。アドラーは「親子も対等」と何度も説きました。子どもが大人になったら、関係も大人同士に組み直す。指導する側・される側ではなく、ひとりの人とひとりの人として会い直すのです。

対等とは、距離を取ることではなく、敬意を持つこと。子どもの選択を、親の正解の物差しで測らない。子どもの仕事観・恋愛観・育児観を、ひとりの大人の意見として聞く。これだけで、親子の関係はもう一段深まります。

アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「親としての自分を、もう一段整えたい」と感じた方には、『育自の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる』(熊野英一)がおすすめです。子どもの自立にとって必要な「アドラー幸せの3条件」を、親自身が学び直すための一冊。巣立ち期の親に、ちょうど効きます。

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巣立ちは「終わり」ではなく「対等の始まり」

課題を分け、信頼を渡し、親自身のライフタスクを取り戻し、巣立ちを成熟に書き換え、関係を対等に組み直す――この5つは全部、「手放すほど、近づける」という逆説の実践です。子どもは離れることで、初めて戻ってこられる関係になります。

寂しくて当然の日があってもいい

部屋が静かになった日、連絡が来ない週、子どもの新しい友人に焼きもちを焼く瞬間――どれも、あって当然です。寂しさを否定しないことのほうが、ずっと大事。今日の寂しさは、これまでの濃さの証拠です。明日、自分の予定を一つだけ入れて、ゆっくり歩いていきましょう。

あわせて読みたい一冊

男の子の子育てをされてきた方は、『アドラー心理学で「男の子の意欲」を伸ばす本』(三笠書房)もおすすめです。巣立ち前後の男の子の意欲をどう育てるか、アドラーの言葉でわかりやすく整理されています。

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シリーズの今後について

次回㉒は「介護する家族のセルフケアとアドラー5レッスン」をお届けします。ケアラー自身が燃え尽きないための、アドラーの整え方を整理します。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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