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「親の言動が気になって、つい強く言ってしまう」
「親を支えなきゃと思うほど、自分がすり減る」
「『あの時こうしておけば』を残したくない、でも余裕がない」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編⑰、テーマは「介護・親世代との関わりに効くアドラー5レッスン」です。
今回はシリーズ全30回のなかでも、私自身のケアマネ業務といちばん近い回です。日々の介護現場で繰り返し見てきた「親と子のすれ違い」を、アドラーの視点でほどく実践を5つに整理しました。罪悪感より、勇気づけを――そんなトーンでお届けします。
親は「介護される対象」になる前に、ずっと「ひとりの人」だった。
ケアマネとしての現場感覚で言えば、親世代との関係でいちばん人を疲れさせるのは、介護そのものの労力ではなく「罪悪感」と「言いすぎた後悔」です。両者ともアドラーの言葉で軽くできるもの。今日はその、肩の力をすっと抜く5つの視点を渡します。
介護・親世代と関わるアドラーの5レッスン
ここからご紹介する5つは、認知症や要介護の親をお持ちの方、まだ元気でも将来が気になる親をお持ちの方、どちらにも効く実践です。頑張りすぎる前に、整え方を知っておく――それだけで、これからの数年がだいぶ違います。
① 親を「介護の対象」より先に「ひとりの人」として見る
親が要介護になったり認知症が進んだりすると、私たちはつい「介護される人」というラベルで見てしまいがちです。でもその前に、親はずっとひとりの人として生きてきた人。⑥で見た「共同体感覚」を、まず親に向けてやり直すのが第一歩です。
現場で見ていて回復が早い親子は、「どこかに連れていく」より「むかし好きだったことを聞く」時間を持っていることが多い。役割の前に、人として向き合う。これは介護のテクニックではなく、土台の姿勢です。
② 「変えよう」をやめて「受けとめる」へ
親世代と関わるとき、いちばん消耗するのが「変えようとする」姿勢です。物の置き場、食事の量、薬の飲み方――「もう少しこうしてほしい」を全部叶えようとすると、こちらが燃え尽きます。アドラーは⑧で見た「自己受容」を、相手にも当てはめる視点を持っています。
変えるのではなく、まず受けとめる。「そうなんだね」とひと言挟むだけで、空気が変わります。「変えなきゃ」を「受けとめてから動く」に置き換える。これだけで、こちらの体力が一日分くらい変わります。
③ きょうだい・家族との「課題の分離」
介護にきょうだいがいる方は、よく揉めます。「あの子は来ない」「あの子はお金を出さない」――④で扱った「課題の分離」が、ここでは強力な味方になります。きょうだいの行動はきょうだいの課題。自分のキャパでできることに、自分の意識を戻すのが先です。
親の意向、きょうだいの態度、地域の介護資源――どれも自分でコントロールできるものとできないものが混ざります。「できる」だけ書き出して、それに集中する。「できない」に時間と気持ちを使わない。これが介護期間を持続させるコツです。
④ 罪悪感を、自分への勇気づけで解く
介護で出てくる感情で、いちばん人を縛るのが罪悪感です。「もっと顔を見せればよかった」「あの一言を言わなければよかった」――でも、罪悪感は自分の人格の証拠ではなく、ただの感情です。⑦で扱った「勇気づけ」を、まず自分に向けてください。
「今日も顔を見せた、それで十分」「電話を一本入れられた、それで十分」――自分を勇気づける小さな言葉を、自分にちゃんとかけてあげる。罪悪感は、自分への勇気づけでほどける感情です。
⑤ 自分を「ケアラー」として整える
介護で疲れた家族のことを「ケアラー」と呼びます。ケアマネとしてお伝えしたいのは、ケアラー自身が整っていないと、介護はもたないということ。アドラーの3つのライフタスク(⑮)で言えば、介護に偏った「愛のタスク」を、仕事や交友で意図的に薄める必要があります。
短い外出、5分のお茶、信頼できる人へのひと言――どれでもいい。自分を労る時間を、罪悪感なしに取ること。これは介護を続けるための、最大の投資です。地域包括支援センターやケアマネにも、遠慮なく頼ってください。頼ることは、弱さではなく賢さです。
アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

介護は「がんばる」より「整える」
親世代との関係でいちばん大切なのは、頑張りの量ではありません。ひとりの人として見て、変えようをやめ、きょうだいとは課題を分け、罪悪感を勇気づけで解いて、自分を整える――この5つはどれも、力を抜くための実践です。介護は短距離走じゃない。数年〜十数年の付き合いを想定して、こちらが折れない形をつくることが、結局はいちばんの孝行になります。
やさしくなれない日があってもいい
親に強く当たってしまった日、用事の電話を切ってしまった日、施設に頼ってしまった日――どれも、あなたが悪いわけじゃありません。やさしくなれない日のある自分を、責めないでください。介護は、毎日100点を取る試験じゃない。60点を続けるほうが、ずっと尊い。今日は60点、それで十分です。
あわせて読みたい一冊
今回の学びを「後悔のない介護」につなげたい方は、『アドラー式 老いた親とのつきあい方』(熊野英一)もおすすめです。後悔のない介護と看取りのために、日々の生活に役立つアドラーの教えから老いた親とのつきあい方を、やさしい語り口で示してくれます。

シリーズの今後について
次回⑱は「お金・将来不安と付き合う5レッスン」をお届けします。漠然とした「足りないかもしれない」を、アドラーの言葉でほどく実践を整理します。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。
このシリーズの他の記事
- アドラーの教え編① 子育て・対人関係に疲れたときに効く「アドラー心理学の5つの基本」
- アドラーの教え編② 子育てで疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編③ 対人関係(職場・友人)で疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編④ 「課題の分離」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑤ 「目的論」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑥ 「共同体感覚」を育てる5レッスン
- アドラーの教え編⑦ 「勇気づけ」の実践5レッスン
- アドラーの教え編⑧ 「自己受容」を日常で続ける5レッスン
- アドラーの教え編⑨ アドラーを毎日の習慣にする5レッスン
- アドラーの教え編⑩ 怒り・イライラと付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑪ 劣等感とうまく付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑫ 仕事・キャリアで使うアドラー5レッスン
- アドラーの教え編⑬ 夫婦・パートナーシップに効くアドラー5レッスン
- アドラーの教え編⑭ 失敗・挫折から立ち直る5レッスン
- アドラーの教え編⑮ ライフタスク(仕事・交友・愛)を回す5レッスン
- アドラーの教え編⑯ 不安・心配との付き合い方5レッスン


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