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「ひとりの時間が、なぜか寂しく感じる」
「逆に、ひとりで過ごす技術がなくて、いつも誰かを求めてしまう」
「独りの時間を、もっと豊かに使えるようになりたい」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・アラン編⑰、テーマは「アランに学ぶ独りの時間・孤独5レッスン」です。
⑩友情、⑯会話と「人と関わる側」を扱ってきましたが、今回はその反対側――独りでいる時間の整え方です。アランは「孤独を恐れず、独りの時間を豊かにできる人だけが、人と健やかに関われる」と捉えました。今回はその核を5つに整理してお届けします。
独りでいられる人が、誰かと一緒にいることもうまくできる。
ケアマネ業務で晩年のご利用者と関わると、「ひとりの時間を豊かに使えている方」と「ひとりが苦痛な方」の差が、晩年の幸福感に大きく効いていると感じます。家族や友人の有無だけでなく、独りでいられる力が、人生後半の幸福を支えるのです。
独りの時間・孤独と付き合うアランの5レッスン
ここからご紹介する5つは、ひとりぼっちで寂しい人向けの慰めではなく、独りの時間を能動的に整えるための実践です。誰かと一緒の時間と並んで、独りの時間も人生の大事な栄養です。
① 「ひとり」と「孤独」を分ける
アランは「ひとりは状態、孤独は感情」と捉えました。物理的にひとりでも、孤独を感じない人がいる。誰かといても、深い孤独を感じる人もいる。だからまず、「ひとりでいること」と「孤独を感じること」は別物と分けるのが第一歩です。
「いまの自分はひとりの状態」「いまの自分は孤独という感情を感じている」――この二つを分けて言葉にできれば、苦しさが半分になります。アドラー編⑯不安編「漠然を具体に分ける」と同じ実践です。
② 独りの時間に「することを決める」
アランは「独りの時間に何をするかが、その人の人格を作る」と書きました。空白の時間を空白のまま過ごすと、寂しさに飲まれます。逆に、独りでやりたいことを準備しておくと、独りの時間が豊かに変わります。
本を読む、散歩する、料理する、楽器を触る、写真を撮る――何でもいい。独りの時間用の「お楽しみリスト」を3つ持っておく。これだけで、ひとりの時間の質がガラッと変わります。
③ 自分との「会話」を持つ
アランは「人は誰でも、自分との会話を持っている」と書きました。独り言、内省、日記、ぼんやり考える時間――どれも自分との会話です。これを大切にすることで、独りの時間は「無人」ではなく「自分と一緒」に変わります。
1日5分、何も持たずにぼんやりする時間を持つ。日記を書く。散歩しながら独り言を言う。自分との会話は、心の整理と発見の場。アラン編⑤「行動と意志」と地続きの実践です。
④ 自然と「ひとり」で出会う
アラン編⑮で扱った「自然との接点」を、独りで持つことの価値。誰かと一緒に見る景色も素敵だけれど、独りで見る景色は別の深さがある。空、月、海、森、雨――独りで出会うと、世界と直接つながる感覚が育ちます。
週に1回、独りで散歩する時間を予定として組み込む。30分でいい。独りで自然と向き合う時間は、最良のメンタルケア。これは介護現場でも、家族と離れる時間としてご家族にお勧めすることが多い実践です。
⑤ 「孤独感」を、人を求める合図と受け取る
独りの時間を豊かにすることと、孤独感を抱え続けることは別です。孤独感が深くなったら、それは「人を求める合図」。アランは「孤独に飲まれそうなときは、無理せず人を求めよ」と書きました。
家族にメッセージを送る、友人に短い電話、地域のコミュニティに顔を出す――どれでもいい。独りでいる力と、人を求める力は両立する。両方を持っているのが、健やかな大人です。アドラー編㉔友情編、アラン編⑩友情編とも地続きの実践です。

アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「アランの哲学的な定義集を、辞書のように手元に置きたい」と感じた方には、『定義集』(アラン著・森有正訳/みすず書房)がおすすめです。アランが哲学用語を独自の角度で「定義」した代表作。独りの時間に、一語ずつ味わう読み方ができる、知的な相棒の一冊です。
独りの時間は「無人」ではなく「自分と一緒」
ひとりと孤独を分ける、することを決める、自分との会話、自然とひとりで出会う、孤独感は人を求める合図――この5つは全部、独りの時間を「豊かな相棒」にする実践です。独りでいられる力と、人と関われる力は両立します。両方を育てることで、人生の幸福は厚みを増します。
独りが寂しくて泣く日があってもいい
寂しさで眠れない夜、誰かに会いたくてたまらない夕方、独りでいると涙が出る瞬間――どれも、あって当然です。独りで泣くことは、弱さではない。涙は感情が流れる出口で、流すから次に進めます。今日は誰かにメッセージを送るだけで十分。明日また、ひとりの時間と向き合えれば大丈夫です。

あわせて読みたい一冊
アランの随想を、より広い範囲で味わいたい方には、『プロポ 2』(アラン著・山崎庸一郎訳/みすず書房)もおすすめです。『プロポ 1』に続く本格的な日本語選集の続編で、独りの時間にじっくり読むのにふさわしい一冊。アランの思考の広がりが見えてきます。
シリーズの今後について
次回⑱は「アランに学ぶ情念の整理──スピノザに学んだアラン哲学5レッスン」をお届けします。アランが影響を受けたスピノザの情念論を、アラン哲学に重ねて整理します。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定です。
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