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「子どもに優しくなれない日が、最近多い」
「叱るべきか、ほめるべきか、いつも迷う」
「子育てに、もっと軸になる考え方がほしい」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・アラン編⑧、テーマは「アランに学ぶ子育て・教育5レッスン」です。
アランは『幸福論』と並んで『教育論』も著した、フランス哲学界の教育者でもありました。長年高校教師として現場に立ち続けた人だからこそ、その教育観は「机上の理想」ではなく「現場の知恵」。今回はアランの教育論を、現代の親が毎日使えるサイズに5つに整理してお届けします。
子どもは説教ではなく、親の振る舞いから学ぶ。だから、親が整っていることが、最大の教育。
ケアマネとして高齢のご利用者の人生を伺っていると、自尊心を保って晩年を過ごす方ほど、「親に責められた記憶が少ない」と話します。子ども時代に押し付けられた言葉より、親の毎日の振る舞いを覚えている――これはまさにアランが100年前に説いた教育論の核心です。
アランに学ぶ子育て・教育5レッスン
ここからご紹介する5つは、子どもの年齢を問わず使える原則です。「子どもを変える方法」ではなく「親が整う方法」として読んでみてください。アラン教育論の不思議な点は、子どもの話なのに、結局親側の整えに行き着くところです。
① 子どもを「機嫌」で育てる──親の上機嫌が最大の教育
アランは『教育論』で繰り返し書きました。「子どもに対して何を言うかより、どんな機嫌で接するかのほうが、はるかに大きな教育になる」。子どもは説教の内容より、親の表情と所作を全身で覚えていきます。
だから子育ての最大の技術は、「正しいことを言うこと」ではなく「親自身が上機嫌でいること」。アラン編⑦で扱った「家庭の最大の贈り物は上機嫌」と完全に重なります。親の上機嫌は、最大の教材です。
② 「強制」より「習慣」──意志は習慣で作る
アランの教育論の核は「習慣を作ることが、教育の本質」です。子どもに毎日勉強しろと強制すると、たいてい逆効果。代わりに、毎日決まった時間に同じ机に向かう「習慣の枠」を作る。意志ではなく、習慣で育てる。
決まった時間に決まった行動を続けるだけで、子どもは自然とその行動を「自分のもの」にしていきます。アラン編⑤で扱った「意志は時間の枠で発揮される」を、子育てに応用するイメージです。子育ては習慣作りの設計と言い換えてもいいくらいです。
③ 子どもの想像力を「敵にしない」
③で扱った「想像力との付き合い方」を、子育てにも応用します。子どもは特に想像力が豊かで、不安にも夢にも引っ張られやすい。アランは「恐怖を語る大人が、子どもの想像力を悪化させる」と警鐘を鳴らしました。
「失敗したらこうなるよ」「もっと頑張らないと、将来こうなるよ」――こんな脅し型の言葉は、子どもの想像力を不安の方向にゆがめます。代わりに、「今日できたこと」を一緒に振り返ること。これがアラン的な子どもへの寄り添い方です。
④ 礼儀作法を「形」から教える
⑥で扱った礼儀作法を、子育てに応用します。アランは「子どもには、まず形を教えよ。心は形から育つ」と書きました。挨拶、ありがとう、お辞儀――内容を理解させようとせず、形だけ繰り返しさせる。意味はあとからついてきます。
「ありがとうって言いなさい」と説得するより、親自身が毎日ありがとうを口にしている姿を見せる。形の繰り返しが、文化を作り、文化が心を作る。これはアドラー編⑦勇気づけ編、㉘言葉づかい編とも地続きの実践です。
⑤ 「行動から心を作る」を子どもに渡す
アラン哲学の核は「心が体を動かすのではなく、体が心を動かす」でした。これを子どもに伝えるのが、最大の贈り物になります。気分が乗らないとき、勉強する気がないとき――まず机に向かう、本を開く、一行書く。それだけで気持ちはあとからついてきます。
子どもに「やる気が出てから始めなさい」ではなく、「とりあえず始めてみたら?」を渡す。形だけ始める、靴を履く、姿勢を伸ばす――こうしたアラン的な小さな実践を伝えるだけで、子どもは生涯使える「自分を動かす技術」を手に入れます。
アランの『幸福論』を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「アラン本人の教育論を、原典で読みたい」と感じた方には、『アラン著作集 7 教育論』(アラン/白水社)がおすすめです。アラン本人が書いた教育論の決定版。長年高校教師を務めたアランが、子どもを育てるすべての大人に向けて書いた、深く実用的な一冊です。
子どもは説教ではなく、親の背中から学ぶ
親の上機嫌、習慣による教育、想像力を敵にしない、形から教える礼儀作法、行動から心を作る――この5つは全部、「親自身が整うことが、最大の教育」という一点に行き着きます。子育ては、子どもを変える技術ではなく、親が整う技術。それがアランの教育論の本質です。
子どもにきつく当たってしまう日があってもいい
感情的に怒鳴った夜、つい比較してしまった朝、ほめすぎてしまった放課後――どれも、あって当然です。完璧な親はいません。アランも完璧を求めません。今日の失敗で、子育ては失敗しません。明日また、上機嫌のひと声から戻れば十分。子どもは、完璧な親より、立ち直る親に学びます。
あわせて読みたい一冊
お子さんと一緒に読めるやわらかいアラン入門として、『コウペンちゃんとおべんきょうする「幸福論」 アランとおともだちになろう』もおすすめです。可愛いイラストとともに、アランの「幸福は作るもの」が子どもにも伝わるように構成された一冊。家族で回し読みするのにちょうど良い、入口の本です。
シリーズの今後について
次回⑨は「アランに学ぶ仕事と退屈の処方箋5レッスン」をお届けします。アランが繰り返し論じた「仕事の意味」と「退屈の毒」を、現代の働き方に重ねて整理します。「3大幸福論編・アラン編」はシリーズ全30回まで継続予定です。


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