※本記事はアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト)を含みます。紹介している書籍は、筆者が内容を確認したうえで掲載しています。
「夫婦なんだから、わかってくれるはず」
「言わなくても伝わってほしい」
「気づけば、また同じことでぶつかっている」
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編⑬、テーマは「夫婦・パートナーシップに効くアドラー5レッスン」です。
⑪劣等感、⑫仕事と続けてきたシリーズですが、いちばん近くにいる人との関係こそ、いちばんむずかしい――そう感じる方は多いはずです。今回は毎日の暮らしを共にする「ふたり」のための、アドラーの整理術をお届けします。喧嘩を減らすコツでも、相手を変える方法でもなく、ふたりの場をやわらかく整えるための小さな実践を5つ、ご紹介します。
夫婦は、相手のせいで悩む場所ではなく、ふたりで整える場所。
ケアマネとして高齢のご夫婦に長く関わっていると、晩年に「あの時こうしておけば」とこぼす方ほど、若いころからふたりの距離をうまく測れずに来ていた印象があります。近すぎる関係ほど、整える技術が要る。これは介護現場で何度も見てきた、夫婦のリアルです。今日のアドラーは、その「整える技術」を渡してくれます。
夫婦を整えるアドラーの5レッスン
ここからご紹介する5つは、結婚年数や年齢にかかわらず、今日からそっと試せるものばかりです。「相手をどう変えるか」ではなく「ふたりの場をどう整えるか」――この視点で読んでみてください。順番どおりでなくても、ピンと来たものから一つだけ取り入れる、で十分効きます。
① 「相手を変える」をやめて、自分の振る舞いに集中する
アドラーは「他者を変えることはできない、変えられるのは自分の振る舞いだけ」と説きました。④で見た「課題の分離」を、もっとも近い関係である夫婦に持ち込むのが第一歩です。「もう少し気を遣ってくれたら」「もっと家事を分担してくれたら」――そう願うほど、こちらは疲れてしまうもの。それは相手の課題で、自分の課題ではないのです。
具体的には、相手の機嫌・口調・気分は相手の課題と割り切る。自分は「機嫌に振り回されない自分でいる」だけに集中します。「変えよう」と力を抜くと、不思議と相手の言葉づかいや態度がやわらかくなることがあります。コントロールを手放した分だけ、ふたりの場には呼吸の余白が生まれます。
② 「ありがとう」を仕組みにする
⑦で見た「勇気づけ」を、夫婦では口グセにしてしまうのがコツです。お礼は「感じたとき」に言うのではなく、「決まったタイミング」で言う。たとえば朝の「いってらっしゃい」、帰宅時の「お疲れさま」、夜の「ありがとう」を一日3回。気持ちが乗っていなくても、まず言葉が先で大丈夫です。
「ありがとう」は気持ちが追いつかない日でもいい。回数のほうが、気持ちより先に効きます。決まった瞬間に決まった言葉を渡す。それを2週間続けるだけで、ふたりの空気はじわっと温まっていきます。家庭の温度を上げるのは、たいていは大げさな何かではなく、こうした小さな反復なのです。
③ 「察してほしい」を手放して、言葉で渡す
「察してくれない」は、多くの夫婦の悩みの中心にあります。アドラー心理学の立場では、人と人は別の存在だから「言葉にしないと届かない」のが当たり前。察してほしい願いを抱えたまま黙っていると、期待だけがふくらんで、勝手にがっかりしてしまいます。だからこそ、願いはほどいて、言葉に変えていきましょう。
「○○してくれると嬉しい」「○○されると、わたしはこう感じる」――「わたしを主語に」伝えるのがコツです。相手を責める「あなた」主語ではなく、自分の状態を渡す「わたし」主語に置き換えるだけで、ぶつかりがぐっと減ります。これは介護現場での家族面談でも、揉めない伝え方として何度もお伝えしてきた技術です。
④ 怒りで支配しない、聞くで近づく
⑤で見た「目的論」では、怒りには目的があると考えます。夫婦における怒りの目的は、しばしば「相手を動かす」「マウントを取る」「謝らせる」だったりします。怒鳴って言うことを聞かせても、関係は静かに痩せていく一方。怒りは便利な道具に見えて、ふたりの土台を削っていく劇薬です。
怒りで支配しそうになったら、まず聞く。「いま、どう思った?」「なんでそう感じたの?」と短く尋ねるだけでいい。聞くことは、ふたりの距離を一段縮める、いちばん静かな方法です。⑩で扱った「怒り・イライラ」の応用編として、夫婦の場面ではこの「聞くで近づく」が特に効きます。
⑤ 「夫婦」より先に「ひとり」を整える
⑧の「自己受容」は、ふたりの土台でもあります。自分がへとへとのとき、人は誰にもやさしくなれないもの。家族にやさしくなれない自分を責める必要はなく、まずは自分のコンディションを整えるのが先です。「夫婦」より先に「ひとり」を整える。これが意外と効きます。
朝の10分の散歩、夜の入浴、好きな飲み物、誰にも邪魔されない読書時間――なんでもいい。「ひとりを整える時間」を確保することは、自分のためだけでなく、ふたりのための投資です。ひとりが整ってはじめて、ふたりはやわらかく重なります。
アドラー心理学を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「夫婦の関係を、もっと深く整えたい」と感じた方には、『夫婦の教科書 愛に向き合い、家庭をつくる』(熊野英一/小学館クリエイティブ)がおすすめです。アドラー心理学の「共同体感覚」を夫婦の土台にすえ、家庭づくりに真正面から向き合った実践書。著者は「アドラー子育て・親育てシリーズ」を多数手がけており、夫婦の場面にも応用が効く具体例が豊富です。

夫婦は「ふたりで整える場」、勝ち負けの場じゃない
夫婦の関係は、どちらが正しいかを競う場ではありません。日々の小さな勇気づけと、「察してほしい」を言葉に変える練習で、ふたりは静かに近づいていきます。ぶつかった日は、勝ちにいくのではなく、ふたりで「整え直す」場に戻す――それがアドラー流のパートナーシップの育て方です。
うまく言えない日があってもいい
言葉で渡す。聞いて近づく。それでも、感情がうまくほどけない日はあります。疲れた日は、無理に整えなくていいんです。ひとつだけ、「ありがとう」を増やしてみる。それだけで、明日のふたりはきっとちがいます。今日のうまく言えなかった自分を、どうか責めないで。明日また、小さくやり直せばいいだけです。
あわせて読みたい一冊

シリーズの今後について
次回⑭は「失敗・挫折から立ち直る5レッスン」をお届けします。誰もが避けられない「うまくいかなさ」を、アドラーの視点でほどいていきます。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。よろしければ、引き続きお付き合いください。
このシリーズの他の記事
- アドラーの教え編① 子育て・対人関係に疲れたときに効く「アドラー心理学の5つの基本」
- アドラーの教え編② 子育てで疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編③ 対人関係(職場・友人)で疲れたときに効くアドラー 5レッスン
- アドラーの教え編④ 「課題の分離」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑤ 「目的論」を使いこなす5レッスン
- アドラーの教え編⑥ 「共同体感覚」を育てる5レッスン
- アドラーの教え編⑦ 「勇気づけ」の実践5レッスン
- アドラーの教え編⑧ 「自己受容」を日常で続ける5レッスン
- アドラーの教え編⑨ アドラーを毎日の習慣にする5レッスン
- アドラーの教え編⑩ 怒り・イライラと付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑪ 劣等感とうまく付き合う5レッスン
- アドラーの教え編⑫ 仕事・キャリアで使うアドラー5レッスン


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