アドラー流㉒「介護家族のセルフケア」5レッスン|燃え尽きないために

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「介護する側の自分が、気づけばボロボロになっている」
「休みたいと思うほど、罪悪感が強くなる」
「家族なのに、優しくなれない自分が嫌になる」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編㉒、テーマは「介護する家族のセルフケアとアドラー5レッスン」です。

⑰では「親世代との関わり方」を扱いましたが、今回はその裏側――支える側のセルフケアの話です。ケアマネとしてこれだけはお伝えしておきたい、燃え尽きないための整え方をアドラーの言葉で5つに整理します。

介護は短距離走じゃない。倒れず続けるための「整え方」が、いちばんの孝行になる。

ケアマネとして家族介護の現場に立ち会うたびに、いちばん心配なのは介護される人より「支える人」のすり減り方です。「自分のことなんて」と言いながら倒れる方を、何人も見てきました。アドラーは、支える人にこそ「自分への勇気づけ」を渡す哲学を持っています。

介護家族のセルフケアに効くアドラーの5レッスン

ここからご紹介する5つは、毎日の介護の中で自分を整え直すための小さな実践です。「もっと頑張る」とは逆方向の整え方ですが、それこそが介護を続ける唯一の道です。

① 「ケアラー」も一人の人。自分を最初に労う

⑧で扱った「自己受容」を、介護家族こそ自分に向けてください。支える側になった瞬間、自分の体調・気持ち・楽しみを後回しにする方が多い。でも自分が整っていないと、支えることはもたないんです。

「介護する自分」も、「ひとりの人」。自分の不調を「介護のせい」にせず、ちゃんと労ってあげる時間を、罪悪感なく取る。これが土台です。短時間の散歩、好きな飲み物、信頼できる人へのひと言――小さくていい、毎日に組み込みます。

② 「全部やる」をやめる――課題の分離

④の「課題の分離」を、介護にも応用します。すべてを自分でやろうとしないこと。プロに頼める部分は頼り、地域の介護資源を使い、きょうだいや家族と分担する。それは「逃げ」ではなく「設計」です。

「親のことは自分が一番わかっている」という気持ちは大切ですが、それを支える資源と切り分けて考える。自分の課題は「自分が倒れない設計」、プロの課題は「専門的なケア」――ここを混ぜないだけで、肩がすっと軽くなります。

③ 怒り・罪悪感の「目的」を見る

⑤の「目的論」では、感情には目的があると考えます。介護で出てくる怒りや罪悪感も同じ。怒りの目的はたいてい「これ以上、抱えられない」というSOS。罪悪感は「もっと大事にしたい」気持ちの裏返しです。

感情を「ダメな自分の証拠」にせず、メッセージとして読む。「怒りが出るほど疲れているんだな」「罪悪感が出るほど、親を大事に思っているんだな」――そう読み替えるだけで、感情の重さが半分になります。

④ ひとりで抱え込まない――話す技術

⑥の「共同体感覚」が、介護家族にこそ効きます。介護の悩みは「家庭の中」と思い込みがちですが、抱え込むほど視野が狭くなる。話す相手を持つこと自体が、立派なセルフケアです。

家族会、地域包括支援センター、ケアマネ、友人、SNSのコミュニティ――合うものを選んで、ひとつだけでも口を開ける場所を持つ。話すことは弱さではなく、続けるための知恵です。ケアマネとしても、家族の話を聞くのは仕事の一部です。遠慮はいりません。

⑤ 「介護以外の場」を意識して持つ

⑮のライフタスクで扱った3つの場(仕事・交友・愛)を、介護家族こそ意識的に回します。介護に偏った重心を、意図的に他の場に分散させる。仕事、友人、趣味、自分だけの時間――どれかひとつでも残しておくのが、長距離を走るコツです。

週に1回、1時間でいい。「介護以外の自分」になる時間を予定として入れる。それは贅沢ではなく、介護を持続させるための投資です。罪悪感が出たら、「これは投資」と自分に言ってあげてください。

アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「生・老・病・死との向き合い方を、もう一歩深めたい」と感じた方には、『アドラー心理学実践入門 ―「生」「老」「病」「死」との向き合い方』がおすすめです。介護や老いの場面で、アドラー心理学をどう実践に落とすかを丁寧にまとめた一冊。ケアラーの心の支えになる本です。

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介護を続ける鍵は「頑張り」より「整え」

自分を労り、全部やるをやめ、感情を目的で読み、ひとりで抱えず、介護以外の場を持つ――この5つはすべて、あなたが倒れないための設計です。介護は毎日100点を取る試験じゃない。60点を続けるほうが、ずっと尊い。アドラーは、その60点を許せる人になるための言葉を渡してくれます。

優しくなれない日があってもいい

親に強く言ってしまった日、家を出たくなった日、施設に頼ってしまった夜――それでも、あなたは間違っていません。優しくなれない日のある自分を、責めないでください。介護の道は、優しさを切らさず歩く道ではなく、優しさが切れても歩ける道を作る、長い旅です。

あわせて読みたい一冊

働き方と家庭を両立しながら介護を続ける方には、『アドラー式 働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』(熊野英一)もおすすめです。働く+家庭+介護の三つを同時に回すコツが、アドラー心理学の視点で整理されています。

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シリーズの今後について

次回㉓は「老いる勇気・50代以降のアドラー5レッスン」をお届けします。自分自身が年齢を重ねる時期に効く、アドラーの整え方を整理します。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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