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お金があれば、もっと幸せになれる気がする。
でも、稼ぐほどに焦りも増えていく感覚がある。
お金と幸福って、結局どうつきあえばちょうどいいのか。
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・ラッセル編⑲、テーマは「ラッセルに学ぶお金と幸福5レッスン」です。今回は、避けて通れないけれど、なかなか言葉にしづらいテーマ──お金と幸福の関係について、ラッセルとともに考えていきます。
ラッセルは「お金は、ある一定までは確かに幸福を増やすが、それ以上は幸福の増え方がぐっと鈍くなる」と書きました。彼が大事にしていたのは、お金そのものの量ではなく、お金が買ってくれる「安心」と「自由」、そして「時間と関係性のゆとり」でした。お金を稼ぐこと自体を否定しているのではなく、「何のために」「どこまで」が抜けると、お金は幸福ではなく焦りの源になっていく──と慎重に分けています。
お金は安心と自由を運ぶ。けれど、安心と自由をすぎたあたりから、お金は焦りに姿を変える。
ケアマネとしてご家族の家計や老後設計のご相談に乗ることもありますが、印象的だったのは「これくらいあれば安心して暮らせます」という金額が、ご家庭ごとに本当に違うことでした。「もっとあれば」と焦り続けるご家族と、「今あるもので十分」と落ち着いていらっしゃるご家族の差は、金額そのものよりも「お金との関係性」にあるように見えます。ラッセルが示してくれる「安心と自由のためのお金」という視点は、福祉現場の実感とも深くつながっています。
ラッセルに学ぶお金と幸福5レッスン
お金との上手なつきあい方を整えるために、ラッセルが教えてくれる5つの視点をお伝えします。
① お金は「ある一定」までは確かに幸福を増やす
ラッセルは、お金と幸福の関係を否定したわけではありません。むしろ、「ある程度のお金は、不幸を遠ざける」とはっきり言っています。日々の食事に困らない、医療を受けられる、雨風をしのげる住まいがある、いざというときに人を頼れる──こうした基本的な安心の土台は、お金がある程度ないと作れません。
だから、「お金は汚い」「欲しがるのは恥ずかしい」と過剰に思う必要はありません。生活を支えるためのお金は、堂々と稼ぎ、堂々と使っていい。問題は「ある一定」を超えたあとに、自分のお金との関係性が変わっていないか、ということです。
② お金そのものではなく、「お金で何を得るか」を見る
ラッセルが繰り返し強調したのは、「お金そのものより、お金が買ってくれるもの」に目を向けることでした。お金で買えるのは、安心、自由、時間、経験、人との関わり、学びの機会など。──こうした「お金の先にあるもの」を意識すると、同じ収入でも、幸福度の高い使い方ができるようになります。
毎月の支出を見直すときに、「これは安心を買ったお金」「これは自由を買ったお金」「これは経験を買ったお金」とラベルを貼ってみる。逆に「これは見栄を買ったお金」「これは焦りで使ったお金」と気づくこともあるでしょう。お金の「行き先」を見ると、自分が本当に欲しかったものが見えてきます。
③ 「不安からの稼ぎ」と「目的のある稼ぎ」を分ける
ラッセルは、お金を稼ぐ動機にも二種類あると考えました。一つは「目的のある稼ぎ」──暮らしを整えるため、家族を守るため、好きなことを実現するため。もう一つが「不安からの稼ぎ」──「足りなくなったらどうしよう」「もっと持っていないと安心できない」と、追われるように稼ぐ状態です。
前者は健やかな労働になりますが、後者はいくら稼いでも安心が来ません。なぜなら、追いかけているのは金額ではなく「不安そのもの」だからです。月に一度くらい、「自分は今、目的のために稼いでいるか、それとも不安に追われて稼いでいるか」と自分に問いかけてみる。不安が強いと気づいたら、そこは金額ではなく不安の根っこを整える時間です。
④ 競争に巻き込まれない使い方を選ぶ
ラッセルは、現代社会の不幸の大きな原因として「お金を巡る競争」を挙げました。「あの人より広い家」「あの人より新しい車」「あの人より高い学校」──こうした比較に巻き込まれると、収入が増えても満足は遠のいていきます。
だから、お金の使い方を決めるとき、「これは自分が本当に望んでいるか」「それとも、誰かに勝つために選んでいるか」と一度問い直す。比較で選ぶ買い物は満足が短く、自分の価値観で選ぶ買い物は満足が長く続く。──これがラッセルの観察した法則です。比較から一歩外れるだけで、同じお金がずっと豊かに使えるようになります。
⑤ お金より「時間」と「関係」の価値を見直す
最後にラッセルが教えてくれるのは、「お金より、時間や関係性のほうが幸福への影響が大きい場面が多い」ということです。十年後に振り返って残るのは、たいてい「あの旅行」「あの家族の時間」「あの友人との会話」であって、銀行口座の数字ではありません。
だから、お金を「もっと稼ぐこと」だけに使うのではなく、「時間と関係を買い戻すこと」にも回す。たとえば、残業を減らして家族と過ごす時間を増やす。少し高くても、人と会いやすい場所に住む。子どもや友人と一緒に何かを経験する。──こうした使い方は、目に見えにくいけれど、確実に幸福の総量を増やしてくれます。

ラッセルの『幸福論』を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「ラッセルの分析を、別角度の翻訳で味わいたい」と感じた方には、『幸福論』(バートランド・ラッセル著・片桐ユズル訳/みすず書房)がおすすめです。お金と競争に関するラッセルの章も、独自のリズムで読み直せる一冊です。
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お金が運ぶのは、安心と自由
お金についてラッセルが教えてくれることをまとめると、「お金が運んでくれるのは、安心と自由までで、その先は焦りに変わりやすい」ということに尽きます。一定までの稼ぎは堂々と確保し、その先は「お金で何を得るか」を意識し、不安からの稼ぎを目的のある稼ぎへ変え、競争から一歩外れ、時間と関係性にもお金を回す。──これだけで、お金は安心と自由を運ぶ味方に戻ってくれます。
お金が足りないと感じる日があってもいい
もちろん、現実の暮らしのなかで「やっぱり足りない」「もっと欲しい」と感じる日はあります。それを「執着だ」と切って捨てる必要はありません。ただ、不安が強い日は大きな決断を避け、ひと呼吸置いてから決める。眠れない夜の家計の心配は、たいてい翌朝考えたほうがいい答えが出ます。お金との関係は、人生のフェーズで揺れていい。揺れながら、少しずつ「ちょうどよい線」を探していきましょう。

あわせて読みたい一冊
マンガで気軽に学びたい方には、『まんがでわかる ラッセルの『幸福論』の読み方』(小川仁志/宝島社)もおすすめです。書店勤務の主人公がラッセルを通して幸福を探していくストーリー仕立てで、お金と競争にまつわる章のエッセンスもマンガで楽しく追えます。
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シリーズの今後について
次回⑳は「ラッセルに学ぶ介護・親世代との関わり5レッスン」をお届けします。ケアマネとしての現場の実感を交えながら、ラッセル幸福論を「介護される人・する人」の両方の視点で読み直します。「3大幸福論編・ラッセル編」はシリーズ全30回まで継続予定です。
このシリーズの他の記事
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- 3大幸福論編・ラッセル編③ ラッセルに学ぶ幸福をもたらすもの5レッスン
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