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子どもの夢中になっている顔を見ると、何より嬉しい。
でも、ふと「これでいいのかな」と不安になり、つい口を出してしまう。
子どもの好奇心を、もう少し信じて待てる親でいたい。
こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・ラッセル編㉔、テーマは「ラッセルに学ぶ子育てとラッセル5レッスン」です。今回は、教育論にも詳しかったラッセルの視点を、子育てというテーマに引き寄せて考えていきます。
ラッセルは哲学者・数学者として知られていますが、『教育論』も執筆した教育思想家でもあり、自ら学校運営にも関わりました。彼が大切にしたのは、子どもの「好奇心」と「自由」を最大限に守ること。罰や恐怖で行動させるのではなく、子ども自身の中にある「知りたい」「やってみたい」という熱意を伸ばす関わりです。この発想は、『幸福論』のなかで彼が大人について語る「熱意」や「私心のない興味」と、まっすぐつながっています。
子どもの好奇心は、教えるものではなく、邪魔しないことで育つ。
ケアマネとしての仕事は高齢者支援が中心ですが、社会福祉士としてご家族全体を見るなかで、親子関係のご相談を受けることもあります。印象に残るのは、子どもの可能性を信じて待てる親御さんほど、ご自身の暮らしも穏やかでいらっしゃること。子育ては、子どもだけでなく、親自身の心の余白の問題でもあります。ラッセルの教育観は、その「親の余白」を整える視点としても役に立ちます。
ラッセルに学ぶ子育てとラッセル5レッスン
子どもの好奇心をつぶさず、親自身もすり減らさないために。ラッセルが教えてくれる5つの視点をお伝えします。
① 子どもの「好奇心」を、結果でつぶさない
ラッセルが何よりも大事にしたのは、子どもの「好奇心」です。子どもは放っておいても、葉っぱや小石や水たまりや、大人には何でもないものに夢中になる。この「ただ気になる、ただ知りたい」という力こそ、後の人生で熱意や仕事や学びを支える土台になります。ラッセルは、これを大人の「結果評価」でつぶしてしまうことを強く警戒しました。
子どもが夢中になっているとき、つい「それで何の役に立つの」「もっとちゃんと書いたら」「もう少し綺麗にやろうよ」と言いそうになります。けれど、好奇心は「役に立つかどうか」とは関係ない場所で育ちます。少なくとも夢中になっている時間は、結果ではなく、夢中になっている事実そのものを認めてあげる。──これだけで、好奇心はずっと長く伸びていきます。
② 「教える」より「一緒に驚く」
ラッセルは、親や教師が「上から教える」関わりに偏ることを戒めました。知識を与えることはもちろん大切ですが、それ以上に、子どもと「一緒に驚く」「一緒に不思議がる」関わりが、好奇心を伸ばすと考えました。「これ、なんでこうなるんだろうね」「面白いね、調べてみようか」と並走する姿勢です。
実は、親が「分からない」「面白い」と素直に言える家庭は、子どもの探究心がぐっと育ちます。完璧な親でなくていい。子どもと同じ目線で、一緒に世界を見直してみる。──そんな関わりが、知識を教える何倍もの力で、学ぶ楽しさを子どもに伝えてくれます。
③ 失敗を、責めずに次に活かす
ラッセルは、失敗を恐れすぎる子どもは、結果として何にも挑戦できない大人になってしまうと考えました。だから親に勧めたのは、子どもの失敗を「責める対象」ではなく、「次に活かす材料」として扱うことです。「だから言ったでしょう」よりも、「次はどうしたらうまくいきそうかな」と一緒に考える視点に切り替えます。
もちろん、危険を伴う失敗は別の話です。けれど、コップを倒した、宿題を忘れた、テストの点が伸びなかった──こうした小さな失敗は、子どもにとって学びの宝物になりえます。失敗のたびに責めると、子どもは挑戦そのものを避けるようになります。失敗を許容できる家庭は、挑戦しやすい家庭でもあるのです。
④ 親の不安を、子どもに移さない
ラッセルが繰り返し指摘したのは、「親の不安が、子どもにそのまま転写されやすい」という事実です。「ちゃんと大人になれるかしら」「将来食べていけるかしら」という親の漠然とした不安は、言葉にしなくても、表情や声色や態度から、子どもにじんわり伝わっていきます。
だから、親が自分の不安と上手に距離を取ることは、立派な子育ての一部です。家計の心配、教育の心配、健康の心配──こうした不安は、子どもの前ではなく、配偶者や友人、専門家と話す時間で扱う。子どもの前では、「大丈夫、なんとかなる」と一度笑える親でいるほうが、子どもはずっと安心して育ちます。⑱の「不安との付き合い方」も、子育てに直結する話です。
⑤ 「比べない・急がない・決めつけない」
ラッセルが教育で重視した三つを、家庭の言葉に直すと「比べない・急がない・決めつけない」になります。きょうだいや、よその子と比べない。早くできるように急かさない。「この子はこういう子だ」と早々に決めつけない。──この三つを心に置くだけで、子育ては驚くほどしなやかになります。
もちろん、比べたくなる日も、急かしたくなる日も、決めつけたくなる夜もあります。それでも、毎日「今日もこの三つを思い出した」と心に置くだけで、子どもへの言葉は少しずつ変わっていきます。完璧な親である必要はなく、迷いながらこの三つに戻ってこられる親で十分。それが、ラッセル流の落ち着いた子育てです。

ラッセルの『幸福論』を、もっと深めたい方へ
ここまでの5つのレッスンを読んで「ラッセルの分析を、別角度の翻訳で味わいたい」と感じた方には、『幸福論』(バートランド・ラッセル著・片桐ユズル訳/みすず書房)がおすすめです。子どもの好奇心や教育につながる視点も、独自のリズムで読み直せる一冊です。
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子どもの好奇心を信じて、待つ
子育てについてラッセルが教えてくれることをまとめると、「親の最大の仕事は、子どもの好奇心を信じて待つこと」だと言えます。結果でつぶさず、教えるより一緒に驚き、失敗を責めず、親の不安を移さず、比べない・急がない・決めつけない。──この5つを心に置いていれば、子どもの好奇心は、必ずどこかで芽を出してくれます。
うまく関われない日があってもいい
もちろん、毎日穏やかに子どもと関われるわけではありません。叱りすぎた夜、つい比べてしまった日、急かしてしまった朝もあります。そういうときは、自分を責めすぎず、明日「ごめんね」を一言伝えるところからやり直せば大丈夫です。親も完璧でなくていい、ラッセルもそう言ってくれるはずです。

あわせて読みたい一冊
マンガで気軽に学びたい方には、『まんがでわかる ラッセルの『幸福論』の読み方』(小川仁志/宝島社)もおすすめです。書店勤務の主人公がラッセルを通して幸福を探していくストーリー仕立てで、子どもの好奇心や熱意を考えるヒントもマンガで楽しく追えます。
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シリーズの今後について
次回㉕は「ラッセルに学ぶ朝と夜の習慣5レッスン」をお届けします。一日の入口と出口を整えるための、小さな習慣のヒントを、ラッセルとともに考えます。「3大幸福論編・ラッセル編」はシリーズ全30回まで継続予定です。
このシリーズの他の記事
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- 3大幸福論編・ラッセル編② ラッセルに学ぶ不幸の原因5レッスン
- 3大幸福論編・ラッセル編③ ラッセルに学ぶ幸福をもたらすもの5レッスン
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