ラッセル㉘「自由と幸福」5レッスン|守るだけでなく使う自由へ

※本記事はアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト等)を含みます。

「自由に生きていい」と言われるほど、かえって何をしていいか分からなくなる。
選択肢は多いはずなのに、決められず疲れる夜がある。
自由は、本当に自分を幸福にしてくれているんだろうか。

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・ラッセル編㉘、テーマは「ラッセルに学ぶ自由と幸福5レッスン」です。今回は、現代社会で誰もが「持っているはず」の自由を、ラッセル幸福論の視点でもう一度考え直していきます。

ラッセルは哲学者として、生涯にわたって「自由」を中心テーマの一つとして扱った人物でした。社会運動にも参加し、自由のために闘った経験もある。けれど『幸福論』のなかで彼が強調したのは、「自由は、ただ与えられればよいものではなく、健やかに使えてはじめて幸福につながる」という点でした。自由は権利であると同時に、ひとつの技能でもあるのです。

自由は、縛られないことだけでは足りない。健やかに使えるようになって、はじめて幸福を運ぶ。

ケアマネとしての現場でも、「自由な時間ができたのに、何をしたらいいか分からない」という方によく出会います。退職、子どもの巣立ち、介護からの一時的な解放。──自由が訪れたはずなのに、かえって虚しくなる。これは個人の問題というより、私たちが「自由の使い方」を学ばないまま大人になりやすい社会の問題でもあります。

ラッセルに学ぶ自由と幸福5レッスン

自由を「持つ」だけでなく、「健やかに使う」ために。ラッセルが教えてくれる5つの視点をお伝えします。

① 「縛られない自由」と「使う自由」を分ける

ラッセルは、自由を語るときに二つの側面を分けて考えました。一つは「縛られない自由」──強制や束縛から解放されていること。もう一つは「使う自由」──そこから何を選び、何に向かうか、自分で決めていく力です。前者だけでは、自由は空白に終わってしまう。後者を育てて初めて、自由は幸福につながります。

もし最近「自由なはずなのに虚しい」と感じることがあれば、それは「縛られない自由」はあっても、「使う自由」を意識する習慣がないだけかもしれません。「今日の自由時間、自分は何を選ぼうか」と一日一度自問してみる。それだけで、空白だった自由に、少しずつ色がついていきます。

② 選択肢が多すぎる現代に、「自由疲れ」がある

現代は、ラッセルの時代と比べても、選べるものが圧倒的に多くなりました。仕事の選び方、暮らし方、家族のかたち、消費するもの。──選択肢の多さは、自由の象徴のように見えますが、同時に「決めることへの疲れ」も生んでいます。何かを選ぶたびに、選ばなかった可能性が気になって、満足感が削られていく。

だから、現代の自由とつきあうコツは、「自分にとって大切な選択」と「どうでもいい選択」を分けることです。後者は思い切ってルーチン化し、考えるエネルギーを使わない。前者には時間と頭をきちんと使う。──こうしたメリハリが、自由疲れを防いでくれます。

③ 「やらない自由」も、自由のうち

ラッセルが特に強調したのが、「やらない自由」の大切さです。何でもできる自由は、ともすれば「あれもこれもやらなければ」という強迫に変わりがちです。けれど自由には、「これはやらない」と決める権利も含まれています。

SNSで流行っていることをやらない、誰かが勧めてくる習いごとに乗らない、楽しそうに見える集まりにあえて行かない。──こうした「やらない選択」は、消極的に見えますが、実は自分の人生を主体的に守る大事な行為です。やる自由と並んで、やらない自由を意識する。これだけで、自由はずいぶん使いやすくなります。

④ 自由には、責任がついてくる

ラッセルは、自由を語るときに「責任」をセットで考えることを忘れませんでした。自由に選べるということは、その選択の結果も自分で引き受ける、ということです。「自由を行使したけれどうまくいかなかった」とき、誰かのせいにし続けると、結局自由そのものを手放してしまうことになります。

だから、自由な選択をした後は、「うまくいかなかったとしても、その判断はその時の自分が最善と思ってしたこと」と受け取る。失敗を含めて自分の責任で抱えられる人は、次の自由な選択も、もっと健やかに使えるようになります。責任は重荷ではなく、自由をより自由にしてくれる土台です。

⑤ 他者の自由を尊重することで、自分の自由が守られる

最後にラッセルが教えてくれたのは、「自分の自由は、他者の自由を尊重する空気の中でしか育たない」ということでした。家族、職場、地域、社会。──自分が他者の自由を狭めようとすれば、いつか自分の自由も狭められる。逆に、まわりの自由を尊重する姿勢を持っていれば、自分の自由も自然と守られやすくなります。

家庭で言えば、配偶者や子どもの選択を否定せず、別の人格として尊重する。職場で言えば、同僚の価値観を否定せず、違いを面白がる余裕を持つ。──こうした態度は、結局自分にも返ってきます。自由は、独占するものではなく、共有することで広がる資源だと、ラッセルは私たちに教えてくれます。

2016 Kwiat grzybieni białych 2
Photo: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

ラッセルの『幸福論』を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「ラッセルの分析を、原典で深く読みたい」と感じた方には、『幸福論』(バートランド・ラッセル著・安藤貞雄訳/岩波文庫)がおすすめです。日本のラッセル読書のスタンダードで、自由と幸福のつながりを、論理の筋を追いながらじっくり味わえます。

👉 『ラッセル『幸福論』(安藤貞雄訳・岩波文庫)』をAmazonで見る

自由は、守るだけでなく、使うもの

自由についてラッセルが教えてくれることをまとめると、「自由は、ただ縛られないだけでなく、健やかに使えて初めて幸福につながる」ということに尽きます。「縛られない自由」と「使う自由」を分け、選択肢の多さに疲れすぎず、「やらない自由」も大切にし、責任とセットで受け取り、他者の自由も尊重する。──この5つを心に置けば、自由はあなたの暮らしを、もう一段豊かにしてくれます。

自由に身動きが取れない日があってもいい

もちろん、自由なはずなのに動けない日もあります。何を選んでも正解な気がしないし、何を選んでも後悔しそうに見える。──そんな夜は、無理に大きな決断をせず、小さな選択(今日の夕飯、明日の散歩道、夜の読書時間)だけ自分で選んでみる。小さな選択の積み重ねが、大きな選択の自由も少しずつ育ててくれます。

2017.06.17.-16-Reinheimer Teich-Reinheim--Sumpf-St
Photo: Andreas Eichler / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

テレビ番組で人気の解説書から入りたい方には、『NHK「100分de名著」ブックス バートランド・ラッセル 幸福論 競争、疲れ、ねたみから解き放たれるために』(小川仁志/NHK出版)もおすすめです。哲学者・小川仁志さんがラッセルの幸福論を、現代の生きづらさに引き寄せて分かりやすく解説した一冊で、自由と選択のテーマにも応用しやすい入門書です。

👉 『100分de名著ブックス ラッセル幸福論』をAmazonで見る

シリーズの今後について

次回㉙は「ラッセル幸福論まるごと振り返り総集編5レッスン」をお届けします。①〜㉘の全30回近いラッセル幸福論を、5つの視点に絞ってまとめ直します。「3大幸福論編・ラッセル編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

このシリーズの他の記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました