アドラー流㉓「老いる勇気」5レッスン|50代以降の成熟

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「最近、自分の老いが気になり始めた」
「役職定年、子どもの独立、親の介護――いろんなものが重なってくる」
「あと何年、自分はちゃんと働けるんだろう」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編㉓、テーマは「老いる勇気・50代以降のアドラー5レッスン」です。

㉒で扱った「介護家族のセルフケア」と並んで、50代以降に効くのが自分自身の老いとの付き合い方です。アドラーは岸見一郎先生の同名著『老いる勇気』でも語られるように、衰えを成熟に書き換える言葉を持っています。今日はその核を5つに整理してお届けします。

衰えではなく成熟。50代からの自分は、整え直すための新しいフェーズ。

ケアマネとして数百人の高齢者と関わってきて確信しているのは、老いをどう意味づけるかで、人生の手触りが大きく変わるということです。同じ年齢でも、目が輝いている方と、しょぼんとしている方がいる。違いは、健康状態や経済状況ではなく、ほとんどが「老いとの向き合い方」でした。

50代からの「老いる勇気」5レッスン

ここからご紹介する5つは、50代から80代まで、どの年代にも効く整え方です。「これからの時間」を、誰の物差しでもなく、自分の物差しで使うための実践です。

① 「衰え」を目的論で読み替える

⑤の「目的論」を、老いに応用します。「できなくなった」は事実、でもその意味は変えられる。「全力疾走の代わりに、深く感じる時間が増えた」と読み替えれば、衰えは喪失ではなく置換になります。

体力、夜の集中力、記憶のスピード――確かに失うものはある。でも同時に、若い頃にはなかった「腹に落ちる理解」「速さよりも丁寧さ」が得られています。意味の付け替えだけで、老いの景色は変わります。

② 「貢献感」は何歳でも作れる

⑥の「共同体感覚」では、貢献感が幸福の核とされます。アドラーが強調したのは、貢献感は役職や役割によらないこと。退職しても、子が独立しても、誰かに渡せるものは必ずあります。

地域の小さなボランティア、孫との時間、近所のひと言、SNSでの応援――どれも貢献感の原料になります。「自分なんて」と思った瞬間に、貢献感は枯れる。小さな貢献を、自分の中で見つける目を持つ。これが50代以降の幸福の核です。

③ 50代以降の「自己受容」――できない自分を裁かない

⑧の「自己受容」が、50代以降にいちばん深く効きます。「昔できたことが、できない」。これを「だらしない」「衰えた」と裁かないこと。できないことを認めながら、できることに集中する。これがアドラーの自己受容の中身です。

できないことを隠そうとするほど、人は固くなります。「もう速く歩けない、でもゆっくりなら歩ける」「夜更かしできない、でも朝の集中なら冴える」――こうやって自分の現在地を素直に受け取ることが、次の一歩を軽くしてくれます。

④ 老いは「閉じる場」ではなく「整える場」

多くの人は、老いを「閉じていく時期」と捉えがちです。でもアドラーから見れば、老いはこれまでの人生を整え直すフェーズ。仕事中心で痩せていた友人関係を取り戻す、ずっと後回しにしてきた趣味を再開する、家族とゆっくり話す――そんな再構築の時間です。

⑮のライフタスクで触れた3つの場(仕事・交友・愛)を、50代以降は配分を変えながら回し直す。「終わりの時期」ではなく、「整えの時期」と捉え直すと、50代以降の20〜40年は驚くほど豊かに使えます。

⑤ 「縦の貢献」――次世代に何を渡すか

アドラーの共同体感覚は、横(同時代の人)だけでなく縦(次世代)にも広がります。50代以降にできる「縦の貢献」を意識すると、人生の手触りがぐっと深くなる。子どもや若い世代に、知恵・体験・励ましを渡すことです。

それは資産でも、肩書きでもなく、「あの人がこう言ってくれた」と心に残る言葉。職場の若手、子ども、孫、地域の若者――誰でもいい、たった一言でいい。縦の貢献は、自分が生きていた時間を、未来に繋ぐ静かな仕事です。

アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「自分自身の老いと、もう一歩深く向き合いたい」と感じた方には、『老いる勇気 これからの人生をどう生きるか』(岸見一郎/PHP研究所)がおすすめです。アドラー心理学とギリシア哲学に学ぶ、今を生きる幸福論。50代以降の道しるべになる一冊です。

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老いは「失う」より「整える」

衰えを目的論で読み替え、貢献感を自分で作り、できない自分を裁かず、整える場として50代以降を捉え、縦の貢献を意識する――この5つは全部、「老い」を「成熟」に書き換える実践です。年齢は止められない。でも年齢の意味づけは、いつでも変えられる。アドラーはそう、静かに教えてくれます。

老いを受け入れられない日があってもいい

鏡の中の自分にがっかりする日、体力が落ちた事実に向き合いたくない日、若い人を見て焦りを感じる日――どれも、あって当然です。受け入れられない自分を、責めないでください。受け入れは、勝ち取るものではなく、日々の小さな実践でじわっと染み込ませるもの。今日は受け入れられなくても大丈夫です。

あわせて読みたい一冊

70代以降の生き方を、もっと具体的にイメージしたい方は、『70歳からの人生の流儀』(岩井俊憲/毎日新聞出版)もおすすめです。70歳という節目から、どう自分らしい時間を作り直すか――アドラー心理学の視点で語られる、やさしい指南書です。

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シリーズの今後について

次回㉔は「友情・大人の友達づくりに効くアドラー5レッスン」をお届けします。年齢を重ねるほど難しくなる大人の友情を、アドラーの言葉でほどく実践を整理します。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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