ラッセル㉖「情報疲れ・SNS」5レッスン|画面の外に目を戻す

※本記事はアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト等)を含みます。

スマホを置いたあと、なんとなく頭がぼんやり重い。
SNSを眺めて、ほかの誰かの生活と自分を比べてしまう。
情報には触れているのに、心が満たされない感覚がある。

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。3大幸福論編・ラッセル編㉖、テーマは「ラッセルに学ぶ情報疲れ・SNSと幸福5レッスン」です。今回は、ラッセルの時代にはなかった「情報の洪水」と「SNS」の時代を、彼の幸福論の視点で読み直していきます。

ラッセルは『幸福論』のなかで、「比較癖」「世論への恐れ」「興奮と退屈の中庸」「私心のない興味」など、現代のSNSや情報疲れに直結する話を、いくつも残しています。彼の時代の「新聞や噂話」が、いまの「SNSとニュース通知」に置き換わったと考えると、ラッセルの言葉はむしろ今のほうがよく効きます。

情報は、増えるほどに幸福を増やしてくれるとは限らない。多すぎる情報は、自分を見失わせる。

ケアマネとして、ご家族から「SNSで介護情報を見すぎてしまって、かえって不安が大きくなった」とご相談いただくことがあります。情報は支えにもなりますが、自分の状況に合っていない情報まで吸い込みすぎると、輪郭がぼやけてしんどくなる。ラッセル幸福論を借りて、画面の中だけに視線が向きすぎていないか、ときどき確認したい時代だと感じます。

ラッセルに学ぶ情報疲れ・SNSと幸福5レッスン

情報の洪水とSNSの中で、自分の幸福を守るために。ラッセル幸福論を現代に引き寄せた5つの視点をお伝えします。

① SNSは「興奮」と「退屈」を急に行き来させる装置だと知る

ラッセルは⑤の章で見たとおり、「興奮と退屈の中庸」を幸福の条件として挙げました。SNSは、まさにこの中庸を乱しやすい装置です。短時間で大量の刺激を浴び、いきなり退屈に戻る。──このアップダウンを一日に何度も繰り返していると、心は静かに疲れていきます。

対策は意外にシンプルです。「SNSを開く時間」と「開かない時間」を、自分の中で区切ること。たとえば朝起きてすぐは見ない、寝る前30分は見ない、食事中は見ない。──こうした小さな線引きが、興奮と退屈のジェットコースターを少し穏やかにしてくれます。

② スクロールで増えるのは、情報ではなく比較の量

ラッセルは④の章で「比較癖こそ不幸の最大の原因」と書きました。SNSのタイムラインは、構造そのものが「比較を生み続ける」よう設計されています。素敵な旅行、おしゃれな食事、輝いて見えるキャリア、可愛い子ども。──スクロールするほどに、自分の暮らしと他者の見せ場が、無意識に並べられていきます。

だから、SNSを見終わったあと「自分は今、何と何を比べていただろう」と振り返ってみる。気づくだけで、比較の毒は半分くらい抜けます。「素敵に見える投稿には、写っていない部分がある」と思い出すことも、立派なセルフケアです。

③ 「世論」とSNSのトレンドは別物

ラッセルは⑩の章で「世論への恐れ」を扱いましたが、SNS時代にはさらに注意が要ります。タイムラインに流れてくる多数派の意見は、実際の世論ではなく、アルゴリズムが見せている一部の声であることが多い。にもかかわらず、私たちはつい「みんながこう言っている」と感じて、自分の意見を曇らせがちです。

SNSで強い意見が並ぶときは、「これは、実際の世論というより、ここに集まりやすい意見だ」と一度割り引いて見る。家族や同僚、近所の方など、画面の外の人たちと話すことも忘れない。リアルの声と画面の声、両方を持っておくと、世論への恐れにも振り回されにくくなります。

④ 画面の外に、関心の窓を意識的に開ける

ラッセルは⑪⑮で繰り返し、「関心を外側にひらく」「私心のない興味を持つ」ことを勧めました。情報疲れの対策としても、これは強力です。スマホの中だけに関心を集中させているとき、現実の世界の風景、音、季節の変化が、視界から消えてしまいます。

一日のうち、意識的にスマホを置いて、外の世界に目を向ける時間を持ちましょう。窓の外の空、街路樹、家族の顔、コーヒーの香り。──こうした「画面の外の関心」は、情報疲れをじわっと洗い流してくれます。情報の量より、現実への接点の数を増やすことが、SNS時代の幸福には欠かせません。

⑤ 「いいね」を集める時間より、「自分が好き」を増やす時間

SNSは「他者からの評価」を可視化する装置です。だからこそ、無意識のうちに「いいねを得るための行動」が増えやすい。ラッセルは⑮で「私心のない興味」を勧めましたが、これはSNS時代こそ大切な指針です。「誰かに見せるため」ではなく、「自分が好きだから」やる時間を、暮らしの中に確保しましょう。

写真に撮らずに楽しむ食事、誰にも報告しない散歩、自分だけのノートに書く読書記録、家族との会話。──こうした「見せない時間」は、SNSの世界では数字になりませんが、自分の心の中では確実に積み上がっていきます。「いいね」より、「自分のいい時間」を増やす視点を、ラッセルから借りたい時代です。

2014.03.29.-08-Mannheim Neckarau Waldpark-Wiesen-S
Photo: Andreas Eichler / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

ラッセルの『幸福論』を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「ラッセルの分析を、解説付きで読みたい」と感じた方には、『幸福論』(バートランド・ラッセル著・堀秀彦訳/角川ソフィア文庫)がおすすめです。各章の要約付きで、比較や世論にまつわるラッセルの章も、SNS時代の視点で読み直しやすい一冊です。

👉 『ラッセル『幸福論』(堀秀彦訳・角川ソフィア文庫)』をAmazonで見る

画面の外に、目を戻す

情報疲れとSNSについてラッセルが教えてくれることをまとめると、「画面の中の興奮や比較に視線を奪われすぎず、画面の外の現実に目を戻すこと」が、現代の幸福の鍵だということに尽きます。SNSを完全に断つ必要はありません。ただ、興奮と退屈のジェットコースターから少し降り、比較の量を減らし、世論の輪郭を正し、画面の外の関心を増やし、いいねより自分の好きを大切にする。──この5つを心に置けば、SNSは敵ではなく、付き合える隣人に変わります。

情報に飲まれそうな日があってもいい

もちろん、SNSが楽しい日もあれば、つい何時間もスクロールしてしまう日もあります。「今日は飲まれてしまった」と気づいた夜は、無理にゼロにしようとせず、まずスマホを別の部屋に置いて深呼吸する。「明日もまた、画面の外に戻れるタイミングがある」と覚えておいてください。情報疲れは、毎日の小さな修正で十分整っていきます。

Bridge of Remembrance during the sunset, Christchu
Photo: Michal Klajban / CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

あわせて読みたい一冊

マンガで気軽に学びたい方には、『まんがでわかる ラッセルの『幸福論』の読み方』(小川仁志/宝島社)もおすすめです。書店勤務の主人公がラッセルを通して幸福を探していくストーリー仕立てで、比較や世論にまつわる章のエッセンスもマンガで楽しく追えます。

👉 『まんがでわかる ラッセルの『幸福論』の読み方』をAmazonで見る

シリーズの今後について

次回㉗は「ラッセルに学ぶ健康と幸福5レッスン」をお届けします。心身の調子と幸福のつながり、体との上手な付き合い方について、ラッセルとともに考えます。「3大幸福論編・ラッセル編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

このシリーズの他の記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました