アドラー流㉘「声かけ・言葉づかい」5レッスン|毎日の関わり方

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「同じことを言っているのに、いつも誤解される」
「家族や同僚に、つい強い言葉を使ってしまう」
「やわらかく伝えたいのに、どう言葉を選べばいいかわからない」

こんにちは、社会福祉士・ケアマネジャーをしているしおこめパパです。アドラーの教え編㉘、テーマは「アドラー流の言葉づかい(毎日の声かけ)5レッスン」です。

㉗で「子どもに伝える自分を大切に」を扱いましたが、伝え方のいちばん基本にあるのが毎日の言葉づかいです。家族、職場、友人――どの場面でも効く、アドラー流の声かけの整え方を5つに整理してお届けします。

伝え方ひとつで、関係はゆるむ。アドラーの言葉づかいは「上から」を「並んで」に変える技術。

ケアマネ業務でいちばん大事にしているのが、「ご利用者・ご家族との言葉づかい」です。同じ介護内容の提案でも、言葉ひとつで受け止め方がまるで違う。アドラーの言葉は、その違いを生む静かな技術を持っています。

アドラー流の言葉づかい5レッスン

ここからご紹介する5つは、家族、職場、友人、子育て、介護――どの場面にも応用できる普遍の声かけ術です。明日の朝から、ひとつだけ試せる粒度に絞っています。

① 「Iメッセージ」で話す

アドラー心理学の言葉づかいの核は「Iメッセージ」です。「あなた」を主語にすると、たいてい責める言葉になる。「わたし」を主語にすると、自分の状態を渡す言葉になります。「あなたが遅い」より「わたしは待っている時間が心配になる」。同じ事実でも、響き方がまるで違います。

⑬の夫婦編、⑰の介護編、㉒のセルフケア編――どこでも繰り返した実践です。主語を「あなた」から「わたし」に置き換えるだけで、関係の温度がやわらかくなる。今日から試せる、一番手軽で一番効くアドラー実践です。

② 「ありがとう」を仕組みにする

⑦の「勇気づけ」を、声かけの仕組みにします。「ありがとう」を、決まった瞬間に必ず言う。朝の見送り、夜のお疲れさま、誰かが何かをしてくれた直後――気持ちが乗らない日でも、まず言葉が先で大丈夫です。

「ありがとう」は気持ちより回数が大事です。1日5回のありがとうを習慣にすると、家族の空気はじわっと温まります。気持ちはあとからついてくる。⑬で扱った夫婦の整え方と同じ原理です。

③ 「指摘」より「観察」を渡す

人を動かそうとして指摘すると、相手は閉じます。アドラー流は「観察を渡す」。「片付けて」ではなく「机の上に書類が増えてきたね」。「早くして」ではなく「あと5分で出発の時間だね」。事実を渡すだけで、相手が自分で動く余地が生まれます。

観察は、命令ではなく情報共有。指摘は上下関係を作り、観察は対等関係を作ります。「私の指示」ではなく「私たちが共有する事実」を渡す。これは介護現場でも、子育てでも、職場でも、強力に効く言葉づかいです。

④ 「ほめる」を「気づき」に変える

㉗でも触れた通り、アドラーは「ほめる」を警戒します。上から評価する関わりは、相手を評価依存にしてしまうから。代わりに使うのが「気づきの言葉」。「えらいね」より「自分で考えてやってみたんだね」。「すごい」より「努力してたの、見てたよ」。

ほめる側は評価者、気づきを渡す側は共に立つ仲間。同じ「いいね」を渡すのでも、相手の自尊心の育ち方がまるで違います。子どもに、後輩に、同僚に、家族に――気づきの言葉が、関係をやわらかく育てます。

⑤ 質問の力――「どう思った?」で対話を作る

言葉づかいで関係を深める最終形は、質問です。「どう思った?」「どう感じた?」「次、どうしたい?」――こうしたオープンクエスチョンは、相手の中に答えを取り出させる力があります。指示するのではなく、相手の主体性を引き出す。

⑥の「共同体感覚」、㉔の「友情」、㉗の「子育て」――どれでも応用できる普遍の技術です。質問は、対等な相手として扱う一番の証明。指示の代わりに質問を渡す癖を持つだけで、関係はぐっと豊かになります。

アドラー心理学を、もっと深めたい方へ

ここまでの5つのレッスンを読んで「人を育てる関わりを、もっと深めたい」と感じた方には、『人を育てるアドラー心理学』(岩井俊憲/青春出版社)がおすすめです。アドラー心理学を「人を育てる」場面に絞ってまとめた一冊。家庭、職場、地域――どの場面の声かけにも効きます。

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言葉づかいは「テクニック」ではなく「姿勢」

Iメッセージ、ありがとうの仕組み、観察を渡す、気づきの言葉、質問の力――この5つは小手先のテクニックではなく、相手を対等に見るというアドラーの姿勢が形になったものです。姿勢が変われば、言葉は自然に変わる。テクニックを覚えるのではなく、見方を変えてみてください。

強く言ってしまう日があってもいい

感情的に話してしまった日、皮肉が出てしまった瞬間、責めたあとの後悔――どれも、あって当然です。強く言ってしまった自分を、責めないことのほうが大事。次に「あの時はごめん」とひと言伝えられれば、それで関係は十分修復できます。完璧な言葉づかいは目指さず、修復できる関係性を育てる――それがアドラー流です。

あわせて読みたい一冊

今回の学びを職場の部下育成にも応用したい方は、『アドラーに学ぶ部下育成の心理学』(小倉広/日経BP社)もおすすめです。部下を育てる声かけや関わり方を、アドラー心理学の視点で具体的に整理。家庭の言葉づかいと地続きで使える、実践的な一冊です。

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シリーズの今後について

次回㉙は「これまで紹介した書籍の総集編」をお届けします。シリーズ全体で取り上げた書籍の中から、深掘りしたい方向けの読み進め方を整理します。「アドラーの教え編」はシリーズ全30回まで継続予定です。

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